「大勢の人に幸せを届けるために、小さな役割でも果たすことができて最高です!」 – エイミー・チュオン


2017年、The Atlantic誌は 『Why Aren’t There More Women Working in Audio? (音響業界の女性はなぜそんなに少ないのか)』という適切なタイトルの記事を発表しました。なぜなら、様々な人口統計サイトから得られたプロオーディオで働く女性の割合はおよそ10%で、この業界のほとんど男性で構成されているからです。これは多くの人にとって驚きのことではないでしょう。しかし、L-Acousticsは、その明確な格差があっても、私たちが愛するショーやイベントの舞台裏で活躍する素晴らしい女性たちにスポットライトを当て、この成長著しい業界に入りたいと思っている他の女性たちの励みになることを目指しています。

 エイミー・チュオン(Amy Truong)氏について

彼女はカリフォルニア州オレンジカウンティで生まれ育ったベトナム系アメリカ人で、Monitor Tech、A2、Patch Techなど様々な肩書きを持っていますが、自分では「オーディオ配管工」と呼んでいます。

「オーディオ配管工とは、基本的にパッチパーソン/オーディオテクニシャンのことです。ライブでは、基礎工事、つまり配管(ケーブル配線)を行います。通常、ステージ上のオーディオの問題を最初にトラブルシューティングします。彼らの仕事は、FOHやモニターエンジニアがミキシングに集中できるようにサポートすることです。」とエイミーさんは説明します。
プロオーディオの世界に入ることは、エイミーさんにとって決めていた道ではありませんでした。子供の頃からバンドオタクだった彼女は、マーチングバンドとドラムラインに参加していました。「ドラムを叩くのが好きで、それ以外に何をすればいいのかわかりませんでした。ドラムラインに参加したことで、共通の目標を持ったチームの一員であることの楽しさに気づき、その役割の大小にかかわらず、全員の役割が重要であることを学びました。それが私に目的意識を与えてくれました。今では、オーディオチームで働くことにも同じ気持ちを抱いています。」

 プロオーディオの世界へ

Vans Warped Tourにてオーディオクルーの仕事を見た後、エイミーさんは音楽やコンサートのライブサウンドの仕事をしたいと思いましたが、どこから始めればよいかわかりませんでした。そこで彼女は、地元のコミュニティカレッジであるフラトン大学の演劇学科でオーディオを学ぶことにしました。「それは私が今までに下した最高の決断の一つです。これから業界に入ろうとする人には、照明、映像、衣装など、さまざまな個性や部門で仕事をすることになるので、演劇を通して学ぶことを強くお勧めします。オペレーション全体の概要を把握し、全体像を理解することが重要です。」

その後、カリフォルニア州にある世界的なテーマパーク「ナッツベリーファーム」や、アメリカのグローバル・クルーズ会社「ロイヤル・カリビアン」の音響を担当しました。「今は、複数のライブサウンド会社の従業員/契約社員として働いています。また、パンデミックの際には、バーチャルな制作スタジオで仕事をしたことも幸運だったと思います。しかし、観客がいなければやっぱり寂しいので、状況が「通常」に戻ることを願っています。

プロオーディオの世界に入った当初の苦労について、彼女はほとんどの問題が内面的なものだったと言います。「150cmの女性、そして有色人種である私は、オーディオ業界でまともに扱われるかどうかわからなかったのです。しかし、キャリアを重ねるにつれ、自信がつき、仕事に集中していれば、そんなことはどうでもいいと思えるようになりました。」

 誰にでもお気に入りがある

「今まで参加したツアーの中で一番気に入っているのは、Rat Soundと一緒に仕事をしたVans Warped Tourです。毎日違う駐車場で目を覚まし、1日に9~10バンドをパッチするオーディオブートキャンプのようなもので、大変なツアーでした。しかし、私がオーディオに興味を持ったきっかけとなったこのツアーは、私のキャリアの中で非常に記念すべき機会となりました。」
プロオーディオに関する彼女のお気に入りのリソースは、Dave RatのブログとYouTubeチャンネル、SoundGirls.org、DcSoundOpのYouTubeチャンネル、そしてInstagramの同僚たちです。


 プロオーディオ業界の女性としての困難

ほとんどの女性は、多くの技術系業界にはハードルがあることを身をもって知っていますが、エイミーさんの経験もそうでした。「証明書やラミネートパスを持っていても、私がクルーの一員であると信じてもらえなくて、何度もセキュリティに止められ、質問されたことがあります。また、現地スタッフが私の指示に耳を貸さず、男性の同僚に頼まれたことは何でもやるという状況にも遭遇しています。」
時には困難なこともあるものの、エイミーさんは自分の仕事が大好きです。「大勢の人に幸せを届けるために、小さな役割でも果たすことができて最高です!また、同僚のヘクトル・ピコン(インスタグラムは@infernorideなので、よかったらチェックしてみてください)から、私がインスタグラムでアップしているケーブルマネジメントの動画を、グアテマラシティの学生に例として使ったと聞いたときは、非常に嬉しかったです。本当に嬉しかったです。」

エイミーさんはまた、プロオーディオでは常に新しいことを学んだり、上手になったりすることができる点も気に入っています。だから、飽きることがないのです。

 業界の女性たちへのアドバイス

これは性別に関係なく言えることですが、もしこれが本当にあなたの情熱であれば、どうか諦めないでください。自分が望む立場にいなくても、落胆しないでください。そして、気晴らしにしかならない、他の人と自分を比較することもやめましょう。あなた自身の道に集中して、最高の自分になることを目指してください。インターネット上にある無料のリソースを活用し、できるだけ多くの人とネットワークを築いてください。世の中には知識を共有してくれる素晴らしい技術者やエンジニアがいますが、あなたは自分で情報を探さなければなりません。私がこれまでに受けた最高のアドバイスは、適切な人たちに囲まれ、知識を吸い込むスポンジのようになり、P-Touchラベルライターを買うことでした!(笑)。」
また、整理整頓、ケーブルの管理、細部へのこだわりなどは、人を大きく成長させることができると説明します。「周りの人がそれに気づきますよ。」と断言します。