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コラム
2018/11/26

ユニークな入札 ウィーン・コンツェルトハウス

Clemence
ブログ
2018年11月

オーストラリアの首都 ウィーンほど多くの歴史的な会場を持っている街は、他に存在しません。
ウィーン・コンツェルトハウスは、国立歌劇場やウィーン楽友協会と同様に21世紀の変わり目に改装が行われた、新世紀の課題に適応した古典的な本拠地とされています。シンフォニーから室内楽までの世界クラスのクラシックコンサートと同様に、ジャズ、ポップ、ワールドミュージックのコンサートなど、幅広いジャンルも多く開催されているため、新しいSRの必要性が高まっていました。

2018年、ウィーン・コンツェルトハウスは未来への次のステップを踏み出し、新しいPAシステムを導入することを決めました。その条件は、様々なホールや構成に適応できる最適なカバレッジと最高の柔軟性を備え、クリアなサウンドを提供するシステムでした。

「ウィーン・コンツェルトハウス協会の使命は、できる限り多くの人々に優れた音楽のあらゆる面を持続的に繋げることです」と、ウィーン・コンツェルトハウスの芸術監督、Matthias Naske氏は個々のホールのSRの重要性について語っています。「もちろん、ルームアコースティックは知覚の感情的な性質において重要な役割を演じます」

その後の選択過程はおそらく比類のないもので、集中的な試聴、実験、評価手順の結果、L-Acousticsが明らかに最適なソリューションとなりました。

「25年間のコンサートツアーで、私は多種多様なSRシステムで豊富な経験を積みました」と、4年間ウィーンコンツェルトハウスのイベントテクノロジー担当責任者を務めてきたIngeborg Doblander氏は説明します。しかし、コンサートホールのPAシステムはライブやクラブのシステムとは異なる要件があるため、Doblander氏はウィーンコンツェルトハウスのテクニカルディレクター Jörg Jansen氏と共に考えた結果、ルームアコースティックを考慮したソリューションを求めていたため、従来のLRシステムによる試聴に反対しました。

入札案内

この競争の激しい入札案内では、合計5社のメーカーが入念な選択プロセスに含まれました。2017年4月という早い時期に、広範囲のグリッド測定が行われ、CAD計画を含む測定データが各メーカーに配布されました。2017年8月、各メーカーはグラウンドフロア、バルコニー、ギャラリーの間に広がる1,240㎡のSRエリアと1850席の広さを持つウィーン・コンツェルトハウスの大ホールで1日にわたって、設計したサウンドデザインを発表しました。

 2018年から、1,850座席に加えて、ウィーンコンツェルトハウスの大ホールは可動する柔軟なL-Acousticsシステムを持っています

科学的評価

設置とセットアップの後、各システムは事前に定義された13ヶ所のリスニング・ゾーンで28人の審査員によって評価されました。「テストシートは、MUSHRA方法論に基づいた18の質問で構成され、0~100点を与えて評価しました」とDoblander氏は説明します。「オーディオサンプルとして、私たちはこの会場を代表する音楽ジャンルの6分間のループシーケンスを提供しました。1つのリスニング・ゾーンを通った後、審査員は自由に次のリスニング・ゾーンに行くか、少し休憩をとることができました。しかし、結局のところ、各参加者はすべてのリスニング・ゾーンで判断しなければなりませんでした。」

4時間の試聴の後、各システムはウィーン・コンツェルトハウスのサウンドチームにも測定されました。TonarchitekturのPeter Willensdorferが独立したコンサルタントとして、入札と評価のプロセスに対して全体的な責任者となりました。

 選択過程は、MUSHRA法に基づいた集中的な試聴、実験、評価のプロセスで行われました
(写真提供者:Carlos Suarez)

説得力のある総合的なパッケージ

L-Acousticsシステムの魅力は、その優れたサウンドだけでなく、その簡単な取り扱い、短いセットアップと撤収の時間、そしてホールのサイズを問わずシステムが使えるその高い柔軟性とスケーラビリティにもあります。「L-Acousticsは、ルームアコースティックを考慮に入れながら、大ホールの客席エリア全体をカバーする、正確に設計されたSRデザインで私たちを納得させました」とDoblander氏は言います。

ウィーン・コンツェルトハウスの新しいサウンドシステムは、ステージの両側にハングされた16台のKaraによる2つのアレイ、4台のKiva IIのセンタークラスタ、2台のX15 HiQ(プロセニアム合唱団用のアウトフィル)、2台のX8(オーケストラ席用のLRアウトフィル)、7台の5XTのフロントフィルで構成されています。ステージの各側にカーディオイド構成に並べて配置されている2台のSB18は低域を提供しており、中央にグラウンドスタックされた2台のKS28に補強されています。システム全体は、8台のLA12Xと4台のLA4Xによってドライブされています。個々のホールで柔軟に使用するために、いくつかのアンプは移動式ラックに収納されています。

 メインPAは16台のKaraによる2つのハングと中央にハングされた4台のKiva IIで構成されています
(写真提供者:Carlos Suarez)

 ささいな違いは大きな変化を作り出します。メインハングの左右に、2台のL-Acoustics X8がオーケストラ席をカバーしています(写真提供者:Carlos Suarez)

固定された配線と可動する配線

Ingeborg Doblander氏は「システム全体が固定なわけではありません。実はメインホールのケーブルのごく一部だけが固定配線になっているのです。コンサートによっては、ほぼ毎日システムを再構成しています。いくつかのLA12XとLA4Xは、劇場の特別席を示す古いドイツ語の言葉『Gitterloge』の上の狭いスペースのラックに収納されています。」と言います。そこからステージ左右のターミナルパネルへのケーブル配線は、Signal Sound&Light Distribution GmbHによって行われました。追加のケーブルはブースター・ルームから、スピーカーケーブルをクロスバーへルーティングするグリッドボックスまで配線されています。ステージ上には、フロントフィルとアウトフィル用の2台の移動式ラックとそのサブウーファーがあります。

新しいL-Acousticsシステムを使用した初めてのコンサートは、8人のメンバーを持つクロスオーバーアンサンブル Red Baraat によって 2018年5月24日に行われました。L-Acousticsドイツ・オーストリア・スイス地域設備・アプリケーション責任者Martin Rode氏は、出発点として3つのステージサイズのセッションファイルを作成しました。さらに、システムは拡散音場でIngeborg Doblander氏とPeter Willendorfer氏によって測定されました。

どんな会場でもそうですが、ウィーン・コンツェルトハウスには特別に注意を必要とするエリアがありました。Doblander氏は結論としてこう述べました。「過去には、大ホールでプロセニアムの特別席のカバレッジとバルコニーエリアのカーブに問題がありましたが、L-Acousticsシステムを利用してうまく解決されました。さらに、システム全体がホールの美的外観に完全に適合しています。」

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