名古屋の中心地である栄に校舎を構え、中部地区から多くの業界人を輩出する、専門学校 名古屋ビジュアルアーツ。未来のエンジニアたちの学習の場でもある多目的ホール「Air Hall」(5号館・地下1階)に、2014年3月、L-Acoustics KARA Systemを導入いただきました。導入にいたるまでの経緯や運用開始後の様子などについて、音響学科講師である永田博紀氏と翁長良行氏にお話をうかがいました。

KARA System と 永田氏


音響学科内勤講師 永田博紀氏のコメント
これまでメインシステムとして活躍してきたモジュラータイプのポイントソーススピーカーは、私が学生として在学中から稼働しており、導入からずいぶんと長い年月が経過していました。新しいシステムの選定は音質が納得できることはもちろん、業界のトレンドや運用面での利便性など、多くの観点からの慎重に検討を重ねたわけですが、実はここにもう一つ「教材として適切か?」という重要な要素があります。私たちにとって音響機器は教材であり、当然のことながらスピーカーシステムもこれに該当します。『学生にとってベストなものを選ぶ』この信念に基づき、いくつかのシステムをテストした結果として、L-Acoustics KARAシステムの導入を決定しました。KARAシステムは主に校内の多目的ホールであるAir Hallで使用しているのですが、校外でのイベント時に持込システムとして機能する形態でシステムアップしています。

今回(お話をうかがったのは2014年6月15日)は、学校として最大のイベントであるArts Sonic(会場:青少年文化センター・アートピアホール)で初めてKARAを使ってみたのですが、モニター側を担当した私から見ると、ステージ上への悪影響は全く感じられません。客席側でも音を聞いてみましたが、こちらも全く問題ありません。エリアカバー・低域の量感・システムとしてのパワー、どれも高いレベルで満足できるものであり、期待どおりの「良い仕事」をしてくれています。

音響学科非常勤講師・翁長良行氏のコメント
今回のArts Sonicで私はFOH側を担当していますが、KARAシステムの持つ能力の高さに非常に満足しています。実際に現場で学生とスピーカーマウント作業をしても軽量であるメリットを感じます(現場によっては女性の学生がスピーカーマウントを担当されることもあるそうです)し、スピーカーシステムの寸法・重量から考えると「得られる音響的なパフォーマンス」には驚くべきものがあります。また、「スタートポイント」が高いレベルに仕上がっていることも魅力のひとつです。今回のイベントに向けて、私は事前にSoundvision(シミュレーションソフト)を用いてキャビネットの設置角度を算出し、LA Network Manager(アンプコントロールソフト)でアンプへ流し込むデーターを作っておきました。

Arts Sonic 2014 仕込み風景


これらのデーターを使って現場の仕込みを行い、アウトチェックが終わった直後にCDを再生してみたのですが、出てきた音は微細な調整で本番をむかえられるクオリティでした。今回のイベントのアウトプットシステムは「メイン(KARA)+インフィル+2階席フィル」で構成しているのですが、メインのチューニングにほとんど時間がかからないため、アウトシステム全体としても非常に短時間で仕上げることができ、余裕をもって次の仕事にとりかかれました。
リハーサル中にシステムの状況をチェックしましたが、卓位置での聞こえ方・エリアカバー・会場内の音圧偏差などは予測どおりの結果となっています。今回のアートピアホールは、学内のAir Hallよりも空間的に広いため、システムをいつもよりも高いレベルでドライブしているのですが、SB18は良く鳴るサブウーファーだと思います。
今回のイベントではハードロックバンドやヒップホップ系のダンスなど低域の量感が要求される演目も含まれているのですが、片側に2キャビネットのSB18でしっかりと対応できていると思います。

ばらし 風景

ベステックオーディオ・コメント
Arts Sonicは出演者(ゲストアーティストを除く)・スタッフどちらも学生で運営されており、現場ではたくさんの「未来の業界人」が真剣にイベントに取り組んでいました。近い将来「学生時代にL-Acoustics KARAシステムで育った」というエンジニアがあらわれてくれるのを私共は楽しみにしています。

学校法人 専門学校 名古屋ビジュアルアーツ様
http://www.n-visual.net
導入システム
L-Acoustics KARA System:KARA / SB18 / LA8jp 他