2018年8月

高い天井、深い身廊、滑らかな石やステンドグラスが特徴の大聖堂は、独特の音響特性を持ち、多くの課題をもたらします。 オーストラリア、ブリスベンにある聖ヨハネ大聖堂もその例外ではありません。 南半球のチャペルでも長い7.2秒のリバーブタイムを持っています。 それはグレゴリオ聖歌や鐘の響きには望ましいことですが、SRの場合はかなりの問題になります。問題解決として、L-Acousticsの5XT分散システムが2017年11月に導入されました。 その遺産の建築的な完全性と美しさを維持しながら、ブリスベンで有名なランドマークにクリアーなサウンドを提供しています。

聖ヨハネ大聖堂は、1859年に成立されたブリスベン教区の母教会です。フランスとイギリスのネオ・ゴシック建築が融合した独特な様式の礼拝所として建てられ、オーストラリアで唯一の石造りのアーチ型天井を特徴としています。反響面に加えて、大聖堂の内壁はブリスベンの西側にあるヘリドン産の砂岩でできています。

「身廊は深くて、思いもよらない場所ででダイナミックな周波数の乱れが発生することがあります。石のアーチ型の構造に加えて、人々といくつかの木彫り以外、音を拡散したり吸収したりするものは全くありません」と、プロジェクト・マネージャーのGerry Gavrosは説明しました。

「大聖堂は様々な使い方をするため、新しいシステムは変更される会衆の大きさ、座席の位置、方向にも対応しなければならなかった。」と、Gavros氏は加えて述べました。「礼拝堂、祭壇、聖歌隊席などがあります。すべては、異なるアプリケーションに対して異なる時間に使用されます。毎日がとても忙しい場所です。」

教会で長年技術インテグレーターを務めるDBAV Productionsのディレクター、Don Bowdenは、聖ヨハネ大聖堂のスケジュールと限られた予算を考慮し、L-Acousticsのウルトラコンパクト5XTシステムを使用して最初のソリューション設計を行いました。

Brisbane Sound GroupのDan Fittellの助けを借りて、5XTシステムは最初にテストとして大聖堂内に一時的に設置されました。

「よりローレベルのコントロールを行った分散システムは大聖堂のドーム屋根の構造によって放たれる、エネルギーを最小限に抑えることができると分かりました。」と、Gavros氏は言っています。「結果は素晴らしかった。集会のメンバーは、10年以上にわたって儀式がはっきりと聞こえたのは初めてだったと言いました。委員会にとって、システムを購入するには十分な結果でした。」

最終的なデザインは、L‑Acousticsの3Dシミュレーションプログラム「Soundvision」を使用して検証しました。 重要な儀式に間に合わせるために、非常にタイトな1ヶ月の期間内でインストールを完了させなければなりませんでした。円滑にプロセスを促進めるために、インストール期間のはじめに配線の仕事をしました。 こうして、固定システムをちょうど一週間で一時的なシステムに交換できるようになりました。

問題を更に複雑にしたのは、教会が遺産であって、砂岩の柱に5XT キャビネットを直接取り付けることができなかったことでした。代わりに、Fittell氏は、スピーカーを取り付けるためにステンレススチールワイヤーシステムを使用したブラケットを設計しました。

壁の色とコーディネートされた44台の5XTエンクロージャー、標準カラーの4台の5XT、合計48台の5XTと、5台のLA4Xアンプリファイド・コントローラーが大聖堂に設置されました。

ブリスベン大聖堂参事会長であるPeter Catt牧師は、新しいサウンド・システムに非常に満足しています。「音は非常に明瞭であり、常連の信徒たちは儀式や説教の、言葉の一つ一つが明確に聞こえるようになったことにより、ミサなどが楽になりました」と言いました。「大聖堂で開催されるコンサートやイベントの音質は非常に高い水準のものでもあります。新しいサウンド・システムに本当に満足しています。」