L-Acoustics、責任あるサウンドデザインのためにHELAと提携

L-Acousticsは、ライブイベントにおける優れたサウンドデザインと、安全で健康的なリスニングが両立できると考えています。より大音量でダイナミックなパフォーマンスへの需要が高まるにつれ、聴覚へのリスクや騒音公害の影響も増大します。ここで重要な役割を果たすのが「Healthy Ears, Limited Annoyance（HELA)」イニシアチブです。

HELAは、産業界、学術界、医療関係者、そして組織が参加する、先進的な国際的取り組みであり、責任ある音響管理の実践を推進することで、より安全で快適なライブサウンド環境を実現することを目的としています。HELAは、音質を損なうことなく、観客、スタッフ、周辺地域の聴覚の健康を守ることを目指しています。

L-AcousticsはHELAの創設パートナーとして、プロフェッショナル・オーディオソリューションにおける豊富な専門知識をこの活動の最前線に提供しています。世界中の会場やフェスティバルで採用されている先駆的なサウンドシステムで知られるL-Acousticsは、パフォーマンスだけでなく、サステナビリティ、そして健康と福祉の分野における革新に、深く取り組んでいます。

健康とサウンドのための共通の使命

その後、ライブサウンドイベントにおける過度な音量曝露と責任あるサウンドデザインに関する意識向上と教育の必要性の高まりに対応するため、HELAイニシアチブが設立されました。この認定プログラムは、ライブサウンドイベントに関わるすべての関係者を対象としています。これには、サウンドエンジニア、会場スタッフ、プロモーター、そして観客も含まれます。音の安全と安心に対する包括的なアプローチを確保することは、HELAの使命の重要な要素です。

HELAは以下のことに重点を置いています。

人間の聴覚器と、長時間または高音圧への曝露に伴うリスクに理解を深める
さまざまな種類の会場におけるサウンドシステムの責任ある設計と運用を推進する
周辺地域への影響を制限するための効果的な騒音制御対策を実施する
個人用および業務用の聴覚保護具の使用を推奨する

これらの目標は、品質と安全性、革新性、そして社会的責任に対するL-Acousticsの長年の取り組みと一致しています。HELAへの関与により、私たちの技術は完璧なサウンドを提供するだけでなく、より健全で安全なリスニング環境の実現を支援することができます。

サウンドデザインと安全なリスニングのための国際基準と研究

HELAのもう一つの重要な側面は、世界保健機関（WHO）が公開した『Global standard for safe listening venues and events（安全なリスニング会場とイベントに関する世界基準）』との整合性です。この規制の枠組みは、WHOの「Make Listening Safe（安全なリスニングを実現する）」イニシアチブの一環として策定されました。

HELAの責任あるサウンドデザインという目標に沿って、私たちは設計の専門知識を活用し、明瞭さと迫力を維持しながら騒音漏れを最小限に抑えるサウンドシステムと会場レイアウトを開発してきました。これが、私たちのEnvironmental System Design (環境システム設計 – ESD）です。

L-AcousticsのESDは、音響伝搬モデリングと詳細なドキュメンテーションのためにSoundvisionを活用し、観客に最適な音質を提供します。その一方で、周辺住民に対する騒音を最小限に抑え、規制遵守を促進し、地域社会との良好な関係を育むことを可能にしています。

変化を生み出す教育

私たちのHELAへの関与は、単なる啓発活動にとどまりません。深い科学的・技術的な貢献に根ざしています。業界から得られる科学的知見を共有することに尽力しており、2024年に開催された『第3回AES International Acoustics and Sound Reinforcement Conference（AES国際音響・音響拡声会議）』の主要スポンサーであり、主催者の一員でもあります。HELAへの関与の中核となるのは教育への献身であり、騒音公害や聴覚健康に関する論文や講座への継続的な貢献によって裏付けられています。こうした教育的取り組みにより、HELAの研究や原則は学術界だけにとどまらず、日常的に実践できる人々に直接届けられています。

HELAは、2025年3月に初めて開催されたL-Acoustics Connectカンファレンスにおいても中心的なテーマでした。HELAイニシアチブの主要メンバーであるダービー大学のアダム・ヒル(Adam Hill)氏とジョン・バートン(Jon Burton)氏が、この教育的かつ包括的な会議で自身の研究成果を発表しました。