2026年5月

5月21日、L-Acousticsは「Source Intelligence(ソース・インテリジェンス)」を発表しました。Source Intelligenceは、ライブパフォーマンスにおいて、これまでにないフィードバックマージン(ゲイン・ビフォア・フィードバック)を実現することでボーカルの明瞭度と可読性を大幅に向上させるボイス・セパレーション技術です。L-ISA Processor II上で専用ライセンスアプリケーションとして動作し、L-Acousticのシステムワークフローに完全に統合されたSource Intelligenceは、L-AcousticsのPAシステムでミキシングを行うFOHエンジニアにとって、騒がしいステージ環境からボーカルをクリーンに分離する画期的なツールを提供します。演者はフィードバックのリスクを冒したり音声明瞭度を犠牲にしたりすることなく、PAの前方を含むあらゆるステージ構成上で自由に動くことが可能になります。

Source Intelligenceは2026年のL-Acoustics基調講演で、ラージ・フォーマット・ラインアレイシステム「L1」およびサブウーハー「CS1」とともに発表されました。イベントでは、The War on Drugsによるパフォーマンスが披露されました。

すべてが、ボーカルのために

Source Intelligenceは、機械学習を活用することで、ライブ音響においてこれまで不可能だったことを可能にします。マイク信号の中からボーカルだけを継続的に識別し、それ以外をすべて除去します。PAからの音被り、観客の声、楽器の回り込み、会場の残響。すべてがリアルタイムで取り除かれ、ツアー現場で長年「当たり前」とされてきた制約を課すことなく、よりクリーンで自然なボーカルが得られます。結果は、本来の声色や特徴、そして明瞭度を保ったボーカルが得られます。この品質の違いは、ブラインドテストにおいてエンジニアやリスナーの双方に一貫して明確に認識されています。

「これまで何十年もの間、エンジニアはPAのかぶりやフィードバックの問題に対し、音質に影響を与えるノッチフィルターや予測が難しいエキスパンダー、あるいは演者を観客から遠ざけてしまうステージ配置など、妥協をして対応してきました」と、L-Acousticsのソフトウェア部門プロダクトマネジメント・ディレクター、ライアン・ジョン(Ryan John)は説明します。「Source Intelligenceは、その両立の難しさを完全に解決します。システムは常に音を聴き続け、処理を行い続けるため、エンジニアはフィードバックとの闘いではなくミックスに集中でき、演者はステージ全体を自由に使うことができるのです。」

明確な違い

L-Acoustics社内外の参加者を対象に行われたブラインドリスニングテストにおいて、Source Intelligenceは競合と比較して一貫して最も高いボイス品質評価を獲得しました。最大で40dBに及ぶボーカル以外の信号を除去し、この違いはプロのエンジニアにも一般のリスナーにも、即座かつ明確に知覚されるものです。さらにSource Intelligenceは、フィードバックが発生してから対処するのではなく、その原因となるPAの音被りや環境ノイズをあらかじめ排除することで、フィードバックのリスクを大幅に低減します。

左図:ブルーノ・マーズ「The Romantic Tour」、FOHエンジニアのSean Sullivan - 撮影ⒸDiwang Valdez
右図:Nine Inch Nails「Peel it Back」、FOHエンジニアのJamie Pollock

アリーナから礼拝施設まで

Source Intelligenceは、2025年春以降、主要なツアー公演、ブロードウェイ作品、そして主要な礼拝施設において、すでに現場で活用されています。ハリー・スタイルズ『Together, Together』ツアー(Solotech)、ベンソン・ブーンおよびロサリアのツアー(Clair Global)、そしてブロードウェイ作品『Dog Day Afternoon』(PRG)などで導入されています。

「Source Intelligenceは、これまでにないボーカルサウンドをもたらしてくれます。今や基本的にスタジオ品質のボーカルと言えるもので、ゲームチェンジャーです」と、ベンソン・ブーンのFOHエンジニアであるジョーイ・ディール(Joey Diehl)氏は語ります。

この技術は、声の拡声が行われるあらゆる用途に対応するよう設計されており、ツアー現場、礼拝施設、企業イベント、舞台公演などで活用可能です。ハンドヘルド型、ヘッドセット型、ラベリア型、望遠型など、さまざまな種類のマイクに対応し、最大4チャンネルを同時に処理できます。各インスタンスは1つのボーカルを処理し、複数チャンネルのグループ信号に挿入することも可能で、例えば企業用途では、1つのインスタンスで複数のハンドヘルドマイクをまとめて処理するといった運用も可能です。

「これによって得られるヘッドルームの大きさに感銘を受けました。非常にラウドなステージ環境や、PAの前に立つパフォーマーを含め、あらゆる状況で透明かつ明瞭なボーカルを得ることができました」と、ブロードウェイ版『Dog Day Afternoon』で本技術を使用したトニー賞受賞サウンドデザイナー、コーディ・スペンサー(Cody Spencer)氏は語ります。

L-ISA Processor II - 拡張し続けるインテリジェンスのエコシステム

Source Intelligenceは、L-Acousticsの包括的なエコシステムの一環としてL-ISA Processor II上で動作するライセンス型テクノロジー群のひとつです。L-ISA Immersive Hyperreal Sound、L-Acoustics DJ、Ambiance、HYRISSといった各種機能も支えています。 これらのソフトウェアアプリケーションはそれぞれ個別に購入可能で、エンジニアやプロダクションは既存のプロセッサーを活用しながら、機能性と柔軟性を段階的に拡張することができます。

Source Intelligenceは一度インストールすれば、しきい値の設定や継続的な調整を必要とせず、既存のコンソール操作や信号ルーティングを変更する必要もありません。エンド・ツー・エンドのレイテンシーはMADI接続時で8.5ms未満に抑えられており、処理のオン/オフにかかわらず一定に保たれるため、オートメーションやスナップショットの切り替えがシステム全体のタイミングに影響を与えることはありません。 また、L-ISA Processor IIプラットフォームでは、電源、ネットワークオーディオ、DSPのすべてにおいて冗長構成が標準で備えられています。

提供開始について

Source Intelligenceは、L-Acousticsシステム導入環境向けに限定して、L-ISA Processor II用ソフトウェアサブスクリプションとして、L-Acoustics All Accessを通じて現在提供中です。