Adlib社が設置したKiva IIシステムは、優れたオーディオカバレッジを提供し、オーディエンスのエンゲージメントを高めます

2019年11月

Warner Leisure Hotels は、英国内の14の地域と沿岸にホテルをチェーン展開しています。それらのホテルには、劇場、ラジオ、テレビで人気のアーティストによる特別なパフォーマンスが開催される、ロンドン・ウェストエンドの有名な劇場と匹敵する会場があり、グレード1級・2級の指定建築物に登録された領主の邸宅で、豪華なバカンスを過ごせます。

プロダクションがますます大きくなる中で、ワーナーホテルズはいままでにない体験をゲストに提供することに取り組んでいます。これを実現するために、サマセット州にあるクリケット セント トーマス マナーホテルのボールルームのサウンドシステムを大幅にアップグレードしました。(ここは、かのネルソン提督とレディ・ハミルトンが足繁く通った土地であり、1980年代のテレビコメディ『To the Manor Born』の舞台でもあります。)彼らはオーディオカバレッジを改善し、忙しい演目に対応できる、ライダー適応性の高いL-Acoustics Kiva IIシステムを選択しました。

「ここではビリー・オーシャン、アスワド、10CC、ジェーン・マクドナルドが演奏をしてきました。今後数ヶ月間もエキサイティングなラインナップを用意しています。これらの大きな演目のエンジニアとプロダクション・チームは、最高のPAシステムを期待しています。かつてはグラウンドスタックシステムで目的を果たしていましたが、仮設だったため、会場すべてをカバーすることはできず、大きく積み上がった2つのPAスピーカーは見た目に良くない問題がありました。」とクリケット・セント・トーマスのテクニカル・ディレクター、デビッド・ホール氏は説明します。「またシステムが常設かレンタルかにかかわらず、すべてのゲストが同じオーディオ体験を確実に得られるよう、会場全体に均等なカバレッジを提供するのにも常に苦労していました。」

 

ホール氏は、有名なAVLスペシャリストであるAdlib社に発注し、インストール・プロジェクト・マネージャーのティム・ロビンソン氏を中心に改修が実施されました。

「私はツアーリングのサウンド・エンジニアとして、さまざまなフェスティバルやイベントでAdlibと一緒に仕事をしてきましたが、彼らの仕事内容に常に感銘を受けていました。」とホール氏は述べます。「Adlibは大規模なフェスティバル・プロダクションにおいて有名で、信頼されています。スタッフは専門的で知識が非常に豊富です。そのようなプロダクションの基盤をこの設備プロジェクトで生かしてほしたかったのです。」

Adlibはクライアントの希望を叶えるために、ライダー適応性の高いL-Acousticsを理想のPAシステムとして選択しました。ホテルの美的外観を保ちながら、会場のカバレッジ問題を解決することができました。L-Acousticsシステム設計は、6台のKiva IIラインソーススピーカーによる2つのハング、アークサブアレイに吊られた6台のSB15mサブウーハー、会場の奥にディレイを提供する1台のX12と、天井が低い所に3台の5XTコンパクトスピーカーで構成されています。

3台のL-Acoustics 5XTは、天井の低い所にカバレッジを提供します。

「ミッドハイの要素としてKiva II の選択は正解でした。」とロビンソン氏は説明します。「私たちが直面した最大の課題は、一貫したサブカバレッジを提供することでした。この部屋は非対称のスペースのため、システムの選択が大幅に制限されました。既存のサブウーハーはステージの下のアルコーブ(凹み)に左右に配置されていましたが、もしそれを真似していれば避けたかったパワー・アレイ効果を再び生み出すところでした。ステージの一部が電動で引き出せる装置があるため、センタークラスターやラインソースを床に置くことができませんでした。そのようなことから、システムを上げる必要がありました。その結果、アークサブアレイを作成して吊ることで会場全体に非常に均一なカバレッジが得られました。」

Adlibはスピーカーシステムを完成するために、2台のL-Acoustics LA12Xアンプリファイド・コントローラーと、システムのルーティングとコントロールを可能にするQSC Q-Sysコアプロセッサーを設置しました。ハウスやゲストのコンソールに接続し、スタッフにとって使いやすいタッチスクリーン式フロントエンドを提供します。これでLA12Xを日常的に監視とコントロールをしながら、パラメーターが誤って変更されないようにすることができます。

AdlibはL-Acousticsのフル機能のプラグインを使用してQ-SysをL-Acousticsのアンプリファイド・コントローラーとインターフェースで接続することで、スクリプトを構築しました。これにより、1つのボタンでのシステムのパワーON/OFFシーケンス、テストとメンテナンスのためのトーン機能、アンプから遠隔計測の取り込み、タッチスクリーンにメーターリング、クリップ状態や温度警告を表示します。

「Q-Sysシステムは電源/ミュートシーケンスも制御し、ユーザーにワンタッチの「オン/オフ」ボタンを提供する他に、まれにゲストエンジニアが適切なレベルでミックスしていない場合に「緊急ボリュームコントロール」を管理として用います。」とロビンソン氏は加えます。

Q-Sysは、火災警報システムにリンクされた既存の音声避難メッセージプレーヤーも装備尾しています。トリガーされると、音声メッセージがL-Acousticsスピーカーシステムにルーティングされ、他のすべての入力がミュートされます。

「このプロジェクトの課題の1つは、ホテルの年間稼働率が94〜96%と非常に高いことです。つまり、ホテルや、エンターテインメント会場のみの休業ができなかったため、プログラムに合わせて作業を行わなければなりませんでした。」と、ロビンソン氏は述べます。「ショーは毎晩行われましたが、システムの納品、設置、調整が1週間以内で完了したことを誇りに思います。」

「新しいシステムはゲストに非常に高く評価されて、雰囲気は驚くほど改善しました。」とホール氏は結論付けています。「オーディエンスのエンゲージメントがスペース全体に広がったので、どこに座っていても、ボーカルがはっきり聴こえて、キックドラムが胸を打ちます。以前と比べて違いがあるだろうと思ってはいましたが、これほど大きな変化になるとは思っていませんでした。」