2018年11月
Mountain View Stagingは、毎年開催されるイベントSalesforce にL-Acousticsのイマーシブ・オーディオ・テクノロジーでリアルなサウンドス ケープを提供しました。

イベントの参加者にインパクトを与え続けることに必要なのは、大きな音を出せば良いだけではありません。経験豊富なオーディオ・エンジニアであれば、クライアントのメッセージをバランスの取れた音でサポートし、印象付けることが本当の目的だと教えてくれます。ほとんどのクライアントは、何か問題が起こらないとオーディオエンジニアの努力に関心を持ちませんが、新しい技術がオーディオをビジュアルと同じように記憶に残るインパクトのあるものにできたらどうでしょうか?

カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたアメリカ最大の企業イベントDreamforceで、比類のないイマーシブ・オーディオ・エキスピリエンスを実現しようとするBigBoyNoiseのJosh Conway氏は、技術の最先端を走っています。Dreamforceは、世界最大の顧客情報管理のソフトウェア会社である Salesforceによって毎年開催されるユーザー・カンファレンスで、最新の技術を期待する、ハイテクに精通した出席者に最新最高のイベント技術を紹介する顧客イベントです。150,000人以上が出席する大規模のイベントで新しい機器を使用することは常にリスクを伴いますが、今までにないユニークな体験を提供する報いは、そのリスクに値します。

今年のサウンドシステムをデザインするためにインスピレーションは、SalesforceのDreamforce集会の大がかりな装飾です。数百の生きた植物と巨大な木々で、床から天井までコンベンションセンターの壁を覆う自然の風景が特徴です。課題は、この大自然のレプリカを完璧にするために自然の音を現実的に再現することでした。録音は、スペース全体のコンセプトを表現するために、Josh Conway氏によって特別に制作されました。Conway氏はラスベガス郊外にあるラヴェル峡谷で、 8本の無指向性マイクを使用して、11時間のタイムラインに編集された2日間のハイレゾリューション録音を行いました。

追加のライブ録音はDan Duganによって行われ、彼は4本のマイクを使用して、ヨセミテ国立公園にあるジャイアント・セコイアで有名なマリポサ・グローブと、サンフランシスコのミュアウッズ国定公園を通るディップシー・トレイルで、近くの小川の洪水の音や、夜明けの森林を飛び去る鳥の鳴き声を録音しました。他のサウンドファイルは、渡り鳥の群れ、会場を通る風、遠ざかっていく雷鳴、オオカミやコヨーテの遠ぼえや、小型飛行機の音などの録音でした。

すべての音は展示会エリアの頭上にあるスピーカーの間から降り注いでいるかのようでした。音は会場のレイアウトを念頭に置いて設計されており、コンピューター端末、LEDの壁、通路を出席者が移動する動きに合わせて頭上を鳥が飛ぶような効果音など、関連する動きを表現するよう設計されていました。照明は視覚的に一日数回、夜明けを再現するために、音声と同期して動き、自然の臨場感を作り出して来場者の感覚に訴えました。

リアリズムを達成するために、Conway氏は来場者をエキスピリエンスに没頭させるためのマルチチャンネル・オーディオのミキシングとプロセッシング技術を使用しました。プレミアムなSRのマーケットリーダーであるL-AcousticsのL-ISAイマーシブ・ハイパーリアル・サウンド・テクノロジーは、最適なソリューションとなりました。ライブイベントや固定施設にも関わらず、L-ISAでサウンド・オブジェクトの定位を最適に決めることができることにより、サウンドの透明度を高めて正確な位置の特定を可能にします。つまり、聴覚は視覚と一致しています。

例えば、コンサートやパフォーマンスの場合、ボーカリストやミュージシャンの実際の立ち位置によって聴こえて知覚されます。これにより、パフォーマンスとの密接性が高まります。Dreamforceが再現する自然風景の場合、L-ISAは、巧みな照明とステージングとの組み合わせにより、来場者に大自然の中にいるような錯覚を起こさせることができます。デザインチームは、カリフォルニア州にあるL-Acousticsのスタジオで、Josh Conway氏と一緒に3Dオーディオコンテンツを扱い、L-ISAインターフェイスのトレーニングをしたことで、L-ISAがユニークなイマーシブ体験を作り出せる唯一のソリューションであることを確信しました。

Conway氏によると、オーディオを多次元に空間化する能力は、充実した体験を提供します。ライブイベントで25年の経験を持つ彼にとって、最大の進歩の一つはイマーシブ・サウンド・デザインだといいます。「包括的なソリューションです」とConway氏は説明します。「複数のスピーカーゾーンが非常にスムーズにブレンドされて、スピーカーゾーンのホットスポットを出入りするときに感じるレベルの格差が全くありません。L-ISAではサウンドシステムのことをすっかり忘れて、音がそのまま自然に聞こえてきます」。

Dreamforceで使用した L-ISAシステムはユニークでした。L-Acousticsのツアー・アプリケーション責任者、Marcus Ross氏は現場で技術サポートを行いました。「L-ISAがこのように使用されたことは、技術的かつ創造的な観点から興味深いものでした。ライブパフォーマンスでL-ISAシステムは『普通』から逸脱となりますが、イマーシブ・サウンド環境の創造的なサウンド・デザインでL-ISAは 途方もない可能性に対して、新しい機会となります。L-ISAコントローラを使用することで、サウンドオブジェクトの配置、自動化、移動ができ、非常に複雑なセットアップになることなく、実装と操作が大幅に簡素化されました」Ross氏は、イマーシブな雰囲気の高さに感銘されました。「レコーディングされていた空間的な奥行きが、展示スペースのオーディオで、豊かでリアルに再現されていました」と指摘します。

オブジェクトの配置と空間化のために使用されたL-ISAコントローラとL-ISAプロセッサに加えて、DreamforceのL-ISAシステムは、展示スペースの中央にブロック構成でフライングされた4台のSB18サブウーファーと、映像スクリーンの前に配置された6台のKaraによる12アレイのフロントシステムで構成されました。会場全体に分散された合計25台のコアキシャルX15 HiQは、自然の効果音をシームレスに感じさせるオーバーヘッドカバレッジを提供しました。システム全体が 25台のLA8と2台のLA12Xアンプリファイド・コントローラによってドライブされました。

アメリカ・カナダ地域のL-AcousticsCEO、Laurent Vaissié氏によると、企業イベントのプロダクションはマルチチャンネルサウンド-特にL-ISA-のにとって、重要なアプリケーションになります。「スピーカーの位置特定と明瞭度の観点から見ると、L-ISAはイマーション感のあふれる環境を作り出すことや、3Dサウンドエフェクトによる製品のリリース発表のドラマチックな演出に最適です」とVaissié氏は述べています。「L-ISAの直感的なミキシング・ツールと包括的なエコシステムも、Dreamforceのような複雑な企業ショーの制作準備時間を大幅に短くします」。

Conway氏は、このプロジェクトで、オーディオビジュアル制作会社Mountain View Stagingと一緒に仕事をしました。MVSは、長年にわたりイベント向きAVの提供で最先端にの会社です。MVSとConway氏は、イベントプランナーがL-ISAのような新しいオーディオ技術の可能性を利用してビジュアルを強化するメリットを認識していないことを知っています。

「MVSとの協力で好ましいことの1つは、オーディオとビジュアルを合わせてデザインできることです」と、Conway氏は言います。「以前のデザインは、音は動きませんでした。しかしこれからは、グラフィックに合わせて音をカスタマイズすることができ、オーディエンス全体を360°の世界に没頭させることができます。これにより、メッセージの伝わりがもっと強くなります。また、サウンドがショーのおまけではなく、重要なデザインの一部となります」。

すべてのL-ISAのサウンド・システムは、クライアントの希望と想像力に合わせて設計されます。L-ISAのクリエイションの可能性を最大限に活用するためにオーディオを特注で録音し、マルチチャンネルおよび多次元に配置する機能を利用することができます。Conway氏は、リアルタイムの各サウンド・オブジェクト位置の制御に、L-ISAコントローラの直観的なグラフィック・ユーザー・インターフェースを使用しました。特定のサウンド・オブジェクトをコントローラの画面から移動することで、ヨセミテの自然な鳥の行動を超リアルでダイナミックに再現することができました。

「これは全く新しい技術です。会場に入った瞬間、何かが違うことに気が付くでしょう。」とConway氏は熱心に語りました。「サウンドも、ビジュアルも、会場を動き回っています。」

Moutain View Stagingのオーディオシステムマネージャー、Chris Kaletta氏はConway氏と協力し、オーディオ・プロダクションの担当者としてDreamforceでインパクトのあるシステムをデザインするために貴重な役割を果たしました。セットアップとテストの途中で、L-ISAシステムを一時的にオフしてみました。Kaletta氏によると、違いは月とすっぽんでした。

「自然に囲まれたかのような感じから、『右にスピーカー、左にスピーカー』という従来のオーディオ・システムへ戻ったことはあまりにも明らかでした。」とKaletta氏は言います。「どう見ても間違っていたが、今までその方法しかありませんでした。」

ほとんどの技術進歩と同様に、イマーシブ・オーディオの唯一の欠点は、より自然な、空間化されたバランス・オーディオを体験してしまうと、他のシステムは音質的に一歩後退しているとしか思えなくなります。

L-ISAイマーシブ・ハイパーリアル・サウンドを体験したい場合、L-AcousticsとTHXとのパートナーシップで生まれたAerosmithの常設公演『The Deuces Are Wild』はラスベガスで2019年4月に始まるりますので、ぜひ訪れてください。

詳細については、下記のホームページをそれぞれご覧下さい。
l-isa-immersive.com / www.bestecaudio.com/blog / mvstaging.com / www.salesforce.com/dreamforce/