2018年10月

この夏、アジア・パシフィック ツアーで、カナダの歌姫、セリーヌ・ディオンが姿を見せてくれました。10年ぶりのアジア・ツアーは東京とマカオから始まり、Grammy賞を5回受賞したセリーヌは、ジャカルタ、台北、マニラ、バンコク、オーストラリアなどをツアーし、ニュージーランドのオークランドでツアーを終了しました。長年セリーヌ・ディオンのオーディオ・プロバイダを務めている、Solotechは現地でシステムを円滑に揃える事に成功し、L-AcousticsのK1K2と、グローバルなプロバイダ・ネットワークと、世界中で一貫性のある機材のおかげで22日間のすべての会場で一貫したサウンドを実現することができました。

「ツアーの各会場に対応できるスピーカー・システムが必要でした。」と、L-Acoustics KXスタンダード認定プロバイダ、SolotechのR&D技術ソリューション副社長、François Desjardins氏は述べます。「セリーヌ・ディオンのツアーでL-Acousticsを使用したのは今回が初めてでしたが、欲しかった音の一貫性を得られることを確信していました。得られた一貫性だけでなく、L-Acousticsプロバイダからのサポートも素晴らしかったです。」

2か月のツアーで、ヒビノサウンドWinlyForscinkMata ElangJack SoundNorwestなどを含む14社は、東京ドーム、ジャカルタのセントゥール・インターナショナル・コンベンション・センター、台北アリーナ、マニラのモール・オブ・アジア・アリーナ、バンコクのインパクト・アリーナ、オークランドのスパーク・アリーナなど、様々な会場とそれぞれの要求に対応しなければなりませんでした。会場情報の多くは、L-Acousticsのアジア地域ヘッド・オブ・アプリケーション、Alvin Koh氏によって広範囲な会場図面ライブラリから提供されました。Desjardins氏とJon Trudeau氏は、L-AcousticsのSoundvisionソフトウェアで各システムを事前にモデル化して、各会場の固有の課題を解決することができました。

「システム・エンジニアのJon Trudeauさんは各プロバイダと直接コンタクトを取り、システムのセットアップ方法を話合い、すべてが適切に機能していることを確認できました。」とDesjardins氏は説明します。「すべての会場でこの作業を行ったのですが、Soundvisionを使用して仕事が劇的に簡単になりました。ソフトウェアは非常に簡単です。スピーカーを入力だけで、その結果を見ることができます。したがって、首尾一貫したスタートポイントを持っているのです。あとは、システムをチューニングするときの好みの問題です。その次は、ガイドラインに従うだけでした。他のソフトウェアでは、結果は必ずしもそれほど良いとは限りません。Soundvisionなら、絶対に希望の結果を出すことができます。」

40,000席以上を持つ東京ドームはツアーで最大のシステムを必要としました。16台のK1と4台のK2による2つのメインハング、中央に4台のK2のハング、20台のK2による2つのサイドハング、16台のK2のディレイハングと14台のK2のディレイハング2つずつが使用されました。12台のKaraはフロントフィル、2台のARCS Wideはアウトフィルとしてステージリップの両側に配置されました。低域は、K1のハングの後ろにフライングされた12台のK1-SBと、ステージフロントにグラウンドスタックされた40台のSB28によって提供されました。ディレイサブシステムは、3台のSB28による4つのスタックで構成されました。

東京ドームの大きさと複雑さにもかかわらず、システムの提供と設置を行った現地のオーディオ・ソリューション会社、ヒビノサウンドと東京三光のサポートのおかげで、Desjardins氏のチームの仕事は非常に簡単になりました。

「ヒビノサウンドは東京三光と協力して計画を実現するのに素晴らしい仕事をしました。」と言います。「東京のショーは、いろんな意味で本当に複雑でしたが、ライブショーの撮影、そしてショーの前夜の真夜中まで入場することができなかったことが問題をさらに大きくしました。18時に始まるショーの前に、ステージのセットアップ、ディレイタワーのリギング、そしてシステム全体を設置しなければならないということでした。日本のサポートチームはそれをこなしただけでなく、驚くほどのタイムスケールで終わらせたのです。実は、私たちが到着したとき、日本のサポートチームは予定より3時間早く会場入していたのです。びっくりしました。そして、非常にリラックスした雰囲気でした。オーディエンスは素晴らしいサウンドを楽しめたし、ステージにいたセリーヌさんにもそれがわかりましたので、本当に特別なショーを体験したと感じました。」
Desjardins氏は、国から国へ移動しても変わらないシステムの一貫性と、彼が受けたサポートを高く評価します。また、FOHエンジニアのDenis Savageも最終結果に満足していると指摘します

「アジア地域の L-Acousticsによるトレーニングと教育は非常にうまくいっている。」といいます。「このワールドツアーの場合、L-Acousticsファミリーがしっかりと一貫性のあることがとても大事でした。不必要なものがシステムに追加されることはありませんでした。初めてパリとロサンゼルスでプロジェクトをL-Acousticsと話し合った時からのサポート、またアジアでAlvinさんと現地のプロバイダからのサポートも、驚くべきものでした。」

「私はセリーヌさんと働いて26年が経ちました。様々な問題に直面した時、いつも素晴らしいサポートを受けてきましたが、L-Acousticsは期待以上のものを提供してくれました。このシステムのプランがこんなにうまく実現できたのは本当にうれしく思いました。最初から最後まではポジティブな経験でした。また一緒に仕事がしたいです!」

東京ドームのサウンドクルー(左から右へ、上から下へ) ー ヒビノサウンド 中山信昭氏、ツアープロダクション・マネージャー/モニター・エンジニア、Jean-Charles Ether氏、システム・エンジニアFrançois Desjardins氏、ツアーディレクター/FOHエンジニアDenis Savage氏、Solotechテクニカル・サウンドエンジニアJonathan Trudeau氏、ヒビノサウンド・システムエンジニア 源五郎丸 “Saiji” 光成氏、東京三光・システムエンジニア 松永哲也氏