7.1構成のシステムでも、SSE Audio Groupによって最適化されたデザインのおかげで、欧米ツアーで従来のシステムと同じくらい迅速に設置/撤収できます

2019年8月

マーク・ノップラーは新しいアルバム『Down the Road Wherever』のリリースし、L-AcousticsのL-ISA Hyperreal Soundテクノロジーを使用した壮大なショーで演奏します。マーク・ノップラーは、10人のバンドと一緒にヨーロッパ中の会場を回った後、北米に向かい、SSE Audio Groupに属するSSE Hireが提供する7.1構成の L-ISAで新たにレベルを引き上げました。

FOHエンジニアのデーヴ・ディキソン氏とシステムエンジニアのウルフ・エーケル氏は、L-ISAテクノロジーを指定しました。プロダクションのリハーサルからプロジェクトに加わった経験豊富なL-ISAオペレーター、マキシム・メネレック氏が、創造性と聴衆へのインパクトを念頭に置いてツアーの始めからシステムエンジニアリングを引き継ぎました。

「L-ISAテクノロジーを使用するというアイデアは、前回のツアーでマーク・ノップラーが言ったリクエストに応えるためのものです。」とディキソン氏は回想します。「彼はギターをパンニングするように頼みましたが、私は愚かにも、『アリーナでは聴衆の半分がそれを聴くことができないので意味がない』とサウンドチェック中にマイクで言ってしまいました。

「L-Rのサウンドシステムの制約は、私が常にほとんどモノラルをミックスしていることを意味します。しかし、ステージに11人のミュージシャンがいる場合、それは簡単な作業ではありません。だから、L-AcousticsがL-ISAで何がしたいのかを聞き、その技術の能力を理解したとき、マーク・ノップラーのビジョンを実現するために絶対に必要なものだと気付きました。」

10ハングによるL-ISA Focusデザインは、わずかの2時間半で設置できます。

創造性に関する目標をクリアした一方、プロダクション・チームからの最も重要な要望に注意が向けられました。スケジュールと予算に余分な負担をかけられないので、システムの設置に今まで以上に時間をかけることができませんでした。そのため、エーケル氏はSSEのシニアプロジェクトマネージャーであるマイルズ・ヒリャード氏と協力して、時間を節約するリギングおよびセットアップ方法を検討し、完全な7.1 L-ISA構成が2時間半以内で動作できるように、革新的なリギング、ルーティング、そしてコントロールのソリューションを考えました。

実は、エーケル氏は以前のP!NKツアーのために作成した、アンプ、モーターコントロール、オーディオ/電力分配を1つのフライアブルフレームに組み合わせる、最適なソリューションを既に開発していました。しかし、『Down the Road Wherever』のために、それをさらに一歩進化させました。「SSEは、アンプとモーターコントロールの分配を保持するフレームを製造しました。」とエーケル氏は説明します。「フレームを特別なプラットフォームと組み合わせることで、故障の場合にオペレータはそこを登って、システムを操作することができました。とてもよくできていました。」

「アンプラックの左右に作業台があり、アクセス用のはしごが組み込まれています。」と、ヒリャード氏は続けて述べます。彼はまた、システム全体はイギリス、レディッチに本社を置くSSEによって2週間で作成されたと指摘します。

各ハング用の単一ケーブルには、SSE Prosight2 角度計用のcat5が組み込まれています。このプロジェクトのために角度系システムも、1台のハンドヘルドメーターユニットがすべての送信ユニットから測定値を取得できるように、更新・改善されました。システムが数回揺れている間にスピーカーの吊り角度を計算するため、エンジニアは吊り角度を変更するたびにPAの揺れが停止するのを待つ必要はありません。「ハングごとに最大10分を節約できます」とヒリャード氏は説明します。「それは大きな時間の節約につながります。」

SSEのこのプロジェクトに対する最も重要な革新の1つは、ハングの吊り角度を変更するための調整可能な新しいシステムでした。

「いくつかのアイデアを検討した結果、角度を調整するためのシングル ポイントのスイング可能なリギングシステムができました」とヒリャード氏は言います。「基本的には、トラスの前面にクリップで留められ、持ち上げて回転させることができる歯があります。角度が設定されたら、しっかりとしたバーで所定の位置にロックされます。」</p

これらの機械的ソリューションに加えて、オーディオ信号の配信は、 2台のL-ISAプロセッサとSD7との間をダブルルーティングシステムを使用したMilan AVB認定のネットワークプロトコルを介して、FOHのDiGiCo SD7からP1プロセッサーとLA12Xアンプまで、完全にデジタルで送られました。ヒリャード氏は次のようにコメントします。「2台目のL-ISAプロセッサを接続し、コンソール上の1つのマクロキーを押すだけでそれに切り替えることができる必要がありました。」

FOHエンジニアのデーヴ・ディキソン氏はL-ISAプロセッサーとDiGiCo SD7による自由な創造性を楽しみます。

「SSEの助けを借りて、これらすべてのイノベーションを1つのシステムにまとめることができました」とエーケル氏は加えて述べます。「最初のリハーサルでさえ、L-ISA構成システム 10ハングをたった2時間半で完全に設置できました。従来のアリーナシステムと同じ時間でL-ISAを設置することが可能であることを証明しました。それが私の目標でした。」

マーク・ノップラーのツアーは、会場ごとで異なるL-ISA Focusデザインを使用しています。ツアーで最大の会場であるロンドンのO2では、メインシーンに5つのハングが設置されました。16台のK2による3つのセンターハングと、18台のKaraによる2つのアウトフィルハングです。メインシステムを補強する拡張システムは、それぞれ15台のKaraによる2つのアレイと12台のK2による2つのサイドフィルハングで構成されています。9台のKS28サブウーハーのセンター・クラスターは、会場全体に一貫した低音域を提供します。

「これは、SSEとエーケルさんが優れた機器と方法を提供し、設置と撤収が非常に素早くできるように最適化された、本当の意味で共同作業でした」とメネレック氏は加えて述べます。「そして、クルーチーフのピート・ヒューズやギヨーム・リシャールとクラウス・ボレンダーのPAチームも、素晴らしいチームです。その結果、すべての会場でL-ISAテクノロジーを使用することが可能なり、47回のショーをミックスした後、従来のL/Rシステムに戻ることは困難でしょう。」

クルーメンバーが迅速なセットアップを体験している一方、デーヴ・ディキソン氏はFOHで新たに感じた自由な創造性を満喫しています。「今、ミックスを始めて、楽器をシーンの左、右、後ろ、前、どこにでも配置できるようになりましたし、実際にその効果が観客に聴こえることもわかっています。」と彼は説明します。「ミックスについて考えが変わったとは思いませんが、その技術によってもっと多くのスペース感を入れることができました。FOHエンジニアとして本当に自分自身を表現するだけでなく、バンド パフォーマンスの素晴らしい演出を作り出すこともできます。観客はL-ISAでとても優れた体験をすることができます。これがL-ISAを使う理由です。」

英国の新聞『The Times』で公開された最高のレビューは、ショーが収めた大成功を裏付けています。マーク・ノップラーの衰えないギターの才能、バンドが演奏する楽器の数と楽器の多様性など驚嘆するばかりです。「それらの魅惑的なフィルと、スムーズでなめらかなリフは、すべての楽曲をさらに美しく飾っていますが、最も印象的なのは、『Brothers in Arms』の魅惑的な演出です。」