ボザールの歴史的ホール「アンリ・ル・ブフ・ホール」、L-Acoustics L-ISAハイパーリアルで“音の未来”へ
2025年10月
ベルギーの建築家ヴィクトール・オルタがその壮大なホールを設計してから約1世紀を経て、ブリュッセルの伝説的なパレ・デ・ボザール(Palais des Beaux-Arts、地元では「ボザール[Bozar]」の愛称で親しまれています)は再び歴史に名を刻みました。2,150席のアンリ・ル・ブフ・ホールに、同ホールとして初となる常設音響システムが導入されたのです。最先端のL-Acoustics L-ISAハイパーリアル・サウンド・システムと、高性能なLシリーズスピーカーで構成されたこのシステムは、ヨーロッパ有数の名門コンサートホールのライブ音楽体験を新たな次元へと引き上げることでしょう。この新システムのお披露目式は9月2日に行われ、ボザールの技術制作部門責任者ニコラ・ベルヌス(Nicolas Bernus)氏が主導しました。式典では、ラッパーのScyllaとベルギー国立管弦楽団による演奏が行われ、専門メディアと一般メディアの双方が取材に訪れました。
数十年にわたり、この象徴的なホールで行われる拡声を伴うパフォーマンスはレンタルシステムに依存しており、会場が追い求める芸術的な理想を完全には実現できずにいました。しかし今秋、シガー・ロス、ボブ・ディラン、ケイ・テンペスト、ザオ・ド・サガザンといった世界的アーティストがステージに立つのを前に、ボザールはその伝説的な名声にふさわしいテクノロジーを備えるに至りました。
ボザールの音楽部門責任者であるオロール・オブアン(Aurore Aubouin)氏は、次のように説明しています。「この新しい音響システムは、ボザールが手がけるクラシック以外の多岐にわたる音楽プログラムを支えるために、特別に設計されたものです。この秋、シガー・ロス(9月23・24日)、ケイ・テンペスト(10月12日)、ボブ・ディラン(10月26・28日)、ザホ・デ・サガザン(10月23・24日)、そしてベルギー国立管弦楽団(BNO)と共演するScylla(11月6・7・10日)など、数多くの世界的なアーティストたちを迎えられることを誇りに思います。また、今回のシステム導入は戦略的な投資でもあります。自前の常設システムを持つことで、もはや外部からの機材レンタルに頼る必要がなくなりました。これにより、アーティストと観客の双方に対して、常に最高峰の体験を提供することが可能になったのです。」
L-ISAイマーシブテクノロジーで新境地を開く
今回のアップグレードの中核を成すのは、L-AcousticsのL-ISAテクノロジーです。このテクノロジーにより、サウンドエンジニアはリスニングエリア全体にわたって個々の楽器やボーカルをピンポイントで正確に定位させることができます。L-Acoustics認定プロバイダーであるXLR社およびインテグレーターであるARTO社と緊密に連携し、ボザールは従来のステレオ構成をはるかに超え、イマーシブオーディオの未来へと踏み出す決断を下しました。
XLR社のCEO、ルイ・ルクサ(Louis Lukusa)氏は次のように説明します。「当初は従来のステレオ構成が要望されていましたが、最も意義のある選択はハイパーリアル・サウンドへ投資することだという結論に達しました。L-ISA構成のL-Acoustics Lシリーズこそが、ホールのどの座席に対しても、妥協のない音色のバランス、明瞭さ、そしてリアリズムを提供できる唯一のソリューションだったのです。」
また、ベルヌス氏は次のように付け加えます。「この新システムは、ボザールにおける音楽体験のあり方を一変させます。L-ISAの空間オーディオ技術により、演奏のあらゆるディテールが驚くほどの明瞭さと奥行きを持って届けられる、自然で前方に定位するリアルなサウンドスケープを構築できるようになりました。これは、ボザールを国際的な最高水準へと押し上げる大きな飛躍であり、観客の皆様に比類なきリスニング体験をお約束するものです。」

ⒸAlexandre.jpg
Lシリーズ:パワーと精密さが奏でる完璧なハーモニー
この技術的成果は、洗練されていると同時に極めて高い完成度を誇ります。チームはSoundvisionモデリング・ソフトウェアを用いて、曲線的な客席形状と複数のバルコニーを持つ客席全体について、すべての座席をカバーする音響設計を行いました。最終的な構成では、L2Dスピーカー5列を正確に配置したフライングシステムと、ホールの自然な音響特性を損なうことなく強力な低音を再生する4台のKS28サブウーハーを2列、中央にフライングしたシステムを採用しています。
さらに、ステージ両端にはSyvaを2台とSyva Lowを2台戦略的に配置し、オーケストラ席に向けた音の広がりを拡張しています。また、ステージリップやバルコニー前面には、合計15台のコンパクトな5XTを分散配置することで、最前列においても極めて高い明瞭度を確保しています。システム全体はLA7.16i、LA7.16、そしてLA12Xのアンプリファイド・コントローラーによって駆動され、全周波数帯域にわたって十分なヘッドルームと精密な制度を実現しています。
「Soundvisionは、このようなプロジェクトを設計する上で成功の鍵となるツールです。」とルクサ氏は強調します。「すべてがSoundvisionから始まるので、。L-Acousticsエコシステムにおいて、最初にして最も重要なステップです。私たちは長年L-Acousticsのシステム設計と導入に携わってきましたが、Soundvisionへの信頼は揺るぎません。見ているシミュレーション結果が、そのまま耳にする音になるからです。」

ⒸAlexandre.jpg
不可能を可能に:響きの豊かな空間の制御
アンリ・ル・ブフ・ホールが持つ響きの豊かな音響特性は、これまでサウンドエンジニアたちを常に悩ませてきました。しかし、新たに導入されたLシリーズは、この課題をむしろ強みへと変えました。このシステムは、音圧を過度に上げたり、ホールの自然な残響を不要に刺激したりすることなく、最後列に至るまで極めて高い明瞭度と均一なカバレッジを実現したのです。
「L-AcousticsのLシリーズは、ボザールの多様なプログラムに難なく対応します。」とルクサ氏は指摘します。「クラシック、ポップス、ロック、ジャズ、あるいはアーバン・ミュージックなど、ジャンルを問わずシステムは即座に適応可能です。また、設置のしやすさは設営時間の短縮という大きなメリットをもたらし、L-ISAプロセッサーの制御ツールによって、あらゆる構成に柔軟に対応できます。ハイパーリアルなイマーシブシステムから、従来のステレオ構成への切り替えも、ワンクリックで完了するのです。」

卓越性に基づくパートナーシップ
今回のシステム導入は、L-Acousticsのアプリケーション・チームが全面的なサポートを提供し、初期設計から最終的なキャリブレーションに至るまで、XLR社と密接に連携して進められました。また、トレーニングも極めて重要な役割を果たしました。ボザールの技術スタッフは、L-Acousticsのエデュケーション・センターで専用の講習を修了し、新たに導入した音響システムを完全に習得しました。
この投資は、ここで終わりではありません。ボザールとXLR社はすでに、別のホールSalle Mにおいてもイマーシブ体験を拡張する準備を進めています。来年初頭には、360度イマーシブのA10システムが導入される予定であり、ボザール全体が最先端のオーディオ・テクノロジーを備えた包括的なエコシステムへと進化を遂げようとしています。
「これは長期的な投資です。」とルクサ氏は強調します。「アーティスト、プロデューサー、そして観客に対して、現時点で利用可能な最先端のサウンドシステムを提供することで、ボザールは国際的な舞台の最前線に立つ存在となりました。」
最後に、ベルヌス氏はこう締めくくります。「このシステムは、ボザールの技術的なポテンシャルにおける大きな前進を象徴しています。L-ISA空間オーディオにより、演奏のあらゆるニュアンスが驚くほどの明瞭さで全座席に届く、真に没入感のあるサウンドスケープを創り出すことが可能になりました。この飛躍によって、ボザールは国際的な最高水準に肩を並べ、多種多様なアーティストやプロダクションを迎え入れる能力をさらに高めたのです。」



























