6MICのグランドコンサートホール(ⒸPatandpatate)

2020年12月
南仏の、現代音楽の震源地は、優れた文化プログラムの浸透を図るためにL-Acousticsシステムを採用しました。

フランス、エクス=アン=プロヴァンス。建築家のルディ・リシオティ(Rudy Riciotti)とジャン=ミシェル・バテスティ(Jean-Michel Battesti)によって設計された6MIC(発音:「シスミック」、意味:「地震」)は、今年の夏にオープンして以来、注目を集めています。苔で覆われたコンクリート構造は、技術的にも世界初の試みでもありますが、山のような外観を持ち、自然の風景に溶け込むように設計されています。6MICの目標は、フランス全土の音楽と文化の震源地になることです。そのため、さまざまな音楽ジャンルを再現し、二酸化炭素排出量を最小限に抑えることができるSRシステムが必要でした。6MICは、その2つの目標を達成するために、すべてのパフォーマンススペースにL-Acousticsを採用することにしました。

構造工事は2018年に開始されましたが、6MIC技術チームがオーディオコンセプトに取り組み始めたのは翌年の9月になってからでした。最高の音質と将来性を備えた音響機器を設置するという野心的な目標を持つ6MICテクニカルディレクターのレミ・ドレーシュ(Rémi Droesch)氏の考えはシンプルでした。「最高のサウンドシステムが欲しかった!」 多くの高品位スピーカーメーカーと相談した結果、L-Acousticsが6MICのチームに採用されたのには、いくつかの理由がありました。

「私たちが相談したすべての企業の中で、L-Acousticsは最初から私たちの条件をクリアしました。」とドローシュ氏は説明します。「第一に、L-Acousticsの包括的なスピーカーのラインナップとその優れた性能は、私たちが知っている最高のオーディオメーカーでした。価格も同様に重要でしたが、L-Acousticsチームは他に負けないオファーを提供してくれました。最後に、周りの自然に溶け込むという建築設計の理念に加え、できるだけエコフレンドリーにしたいと考えを持っていたので、フランスのスピーカーメーカーと提携することは私たちにとって完全に理にかなっていました。」

DuShowはシステムインテグレーターに選ばれ、そのチームはすべての商業的要素と技術的な面で6MICのアルベール・ペラ(Albert Peirat)氏とローラン・ムーリス(Laurent Moulis)氏と密接に協力しました。また、L-Acousticsのセールスマネージャーであるオリヴィエ・イニザン(Olivier Inizan)氏が新しい Kara IIシステムを提案してくれたのもDuShowのおかげです。

6MICの屋外パティオは、ARCS WiFo/SB18mのシステムを採用しています。

「イニザンさんが当時まだ発表されていなかったKara IIを提案したとき、私たちは期待と興奮に息を呑みました。Karaが私たちにとって最適なシステムになることを確信ていましたが、独創的で革新的な建築設計が世界初として認められた直後に、Kara IIを設置する世界初の会場として知られることが、とても当たり前なことに感じました。」とドレーシュ氏は微笑んで述べました。

新しいL-Acoustics M1測定プラットフォームは、会場のそれぞれ異なる構成をしたパフォーマンス スペースに完全に最適化されたシステムを構築するために、サウンドシステム全体をデザインするツールとして推奨されました。M1は、P1プロセッサと組み合わせて、6MICのスペース全体でラウドスピーカーシステムの測定を効率化することを可能にしました。

これは非常に早い段階でその価値を証明しました。3つのフロアに分かれる6MICは、800人と2,000人の観客を収容できる2つのコンサートホール、アマチュアとプロのミュージシャンのための5つのリハーサルスタジオとレコーディングスタジオ、そして屋外パティオの 8つのエリアで構成されています。各エリアは特徴があり、均一なバンドワイズとダイナミクスを実現するためにチームはそれらを個別に処理する必要がありました。

オーディオコンセプトは、ムーリス氏が設計し、イニザン氏とL-Acousticsアプリケーションエンジニアのアルノー・ドゥロールム(Arnaud Delorme )氏の協力を得て、システムは3月に6MICに納入されました。「COVID-19の第一波による制限のために、Kara IIの最終的なインストールは5月まで延期され、ドゥロールム氏は6月に個々のスペースでソーシャルディスタンスを取りながら、3日間のトレーニングとテストを完了しました。」とドレーシュ氏は続けます。

6MICのグランドコンサートホールはL-Acoustics Kara IIシステムと、A10によるインフィルとX8によるフロントフィルでルーム全体に均一なカバレッジを提供します。(ⒸVincent Anges)

6MICのグランドコンサートホール (ⒸAntoine Terrière)

グランドコンサートホールのシステムは、4台のKS21でを備えた片側Kara II 可変曲率ラインソースで構成されています。放射状に配置された4台のA10は、確実にインフィルを提供し、フロントフィルのX8は最前列に完璧なカバレッジを提供します。Kara IIアレイは、AutoFIR技術を使用した最先端のラインソース処理を提供するために、2台のボックスを1グループにしてドライブされています。そして、会場全体に一貫したSPLとトーンバランスのレスポンスを提供します。

クラブは、バンドワイズを拡張性するためにKS21サブウーハーとミディアムスローのA15ラインソースを使用しています。またインフィルとフロントフィルをX8で提供します。パティオスペースはARCS WiFoと SB18mのシステムで構成されており、バーは5XTとSB18サブウーハーを採用しています。サイドフィル用のARCS WideとモバイルX15HiQステージモニターパッケージは、アーティストの要望を十分に満たしてくれます。

クラブの様子。(Ⓒ6MIC)

「このシステムの素晴らしいところは、その適応性です。パティオの機材は、冬の間はバーでも使用できます。」とドレーシュ氏は説明します。「各システムは、そのスペースの容量と形状に合わせて調整されています。クラブとグランドコンサートホールでは、P1とアンプリファイド・コントローラー間でMilan/AVBオーディオネットワークプロトコルを使用しているので、すべてのアンプチャンネルの完璧なタイムアライメントと最適化されたディレイの両方を備えています。LA Network Manager はすべてのシステムを制御しています。

6MICは夏の間、多くのアーティストやパフォーマーのショーを開催しましたが、システムに関する評価は非常に好意的でした。Oxmo Puccino、Ayo、Peter Hook and The Light、The Wackids、Svinkelsなど、フランスと海外の様々なアーティストは、2021年に6MICに出演する予定です。

「私たちは最終的な結果を非常に誇りに思っており、L-AcousticsとDuShowの緊密なパートナーシップと、この野心的なプロジェクトの実現を支援してくれた地元のサービスプロバイダーに感謝します。」とドレーシュ氏は締めくくります。「L-Acousticsから受けた貴重なテクニカルサポートは、システム設計の初期の段階だけでなく、システムテストとチームトレーニングの最終プロセスの間も常に丁寧でした。私たちは、6MICスタッフと訪問したアーティストからは、会場の素晴らしさや音質の良さを高く評価していただいています。Kara II は間違いなく新しい道であり、私たち自身も同じ方向に進んでいること非常に喜ばしく思います。」