フィラデルフィア教会の新しいL-Acousticsシステムは、メインハングにKara IIとKS21サブウーハー、アウトフィルにA15、フロントフィルにX8を使用しています。

スウェーデンの教会でKara IIがカバレッジと忠実性、建築上の制限に完璧に適応

2021年6月
1930年11月に設立されたストックホルムのFiladelfiakyrkan(フィラデルフィア教会)は、スウェーデンのペンテコステ派に属しています。教会の人気が高まり、小さなバンドが演奏する礼拝プログラムが行われていることと、ツアープロダクションに建物を貸し出す意向があることから、建物の全面的な改修を行い、技術的なインフラを更新することが決定されました。2019年には、メインホールを改造してサイトラインの良い多目的スペースに仕上げるなどの工事が始まりました。2020年の初めに、L-Acoustics認定レンタル兼インストール・プロバイダーであるJLE Audioは、教会独自のニーズに対応し、ライダー適応性の高い会場となるような新しいPAシステムの提案を求められました。

求められたのは、全席を完璧にカバーし、スピーチからポップスやロックまで対応できる最適なソリューションでした。9月には、同様の会場で5つのスピーカーブランドで試聴デモが行われました。システムを並べて、プロのサウンドエンジニア、教会の音楽・技術部門のスタッフ、ボランティアで構成される審査員が、様々な音楽やスピーチを聴き比べてテストを行いました。

同僚のリヌス・パンセル(Linus Pansell)氏と一緒に仕事をしているフィラデルフィア教会の設置責任者であるポントゥス・リュデビェールク(Pontus Rydebjörk)氏は、「私たちは、それぞれのシナリオでそれぞれのシステムについて採点用紙に記入してもらいました」と説明します。「案件の回答、JLEの取り組み、ライダー適応性と価格を知った時、L-Acousticsを選択することが当然になりました。」

JLEのヨハネス・ヨンソン(Johannes Jonsson)氏は、システムの設計、設置、測定、調整を担当し、L-Acousticsのアプリケーションエンジニア、オスカル・マイヤー(Oskar Meijer)氏の協力を得て、サウンドデザインの提案を行いました。屋根の耐荷重が限られているため、メインシステムにKara IIを選択したのは、軽量でありながらポンタス氏らが求めるカバレッジとパンチを備えていることからでした。

リュデビェールク氏は次のように付け加えています。「私たちはいくつかの追加条件を持っていましたが、その中でも重要なのはウーハーのフライングシステムを使用したいということでした。教会のステージは取り外して、変更が可能な構造になっているので、ステージデザインに柔軟性を持たせ、サブウーハーのためにデザインやスペースを調整する必要がないようにしたかったのです。」

L-Acoustics X8はアンダーバルコニーをカバーしています。

L-Acoustics Kara IIとKS21のアレイのクローズアップ

L-Acoustics Kara IIとKS21のアレイのクローズアップ


設置は、JLEと教会の音響スタッフが2020/21年の冬に完成させました。最終的なデザインは、左右にそれぞれ12台のKara IIとその後ろに4台のKS21によるメインシステムになっています。アウトフィルは片側1台のA15 Wide、フロントフィルは6台のX8を使用しており、さらに8台のX8がアンダーバルコニーにカバレッジを提供しています。システム全体は、FOHに設置されたL-Acoustics P1プロセッサー/メジャーメントプラットフォームからAVBで入力されるLA4Xアンプリファイド・コントローラーでドライブされています。

「システム全体に柔軟なマトリックスを用意し、所有コンソールとゲストコンソールの両方をAESまたはアナログで接続できるようにしたかったので、P1を使用することは自然な選択でした。また、サブウーハーなどに個別に送信したり、ゲスト用のEQを用意する機能も必要でした。」とヨンソン氏は続けます。「加えて、アンプへの最高のオーディオ伝送も求めています。ここではAVB/MILANが無敵です。すべてが完璧にタイムアラインメントがなされ、最高の音質で送信されるのです。リダンダンシーとしては、P1からのアナログフォールバックがあります。P1が提供するもう一つの素晴らしい機能は、Autoclimateです」。

ヨンソン氏は、Soundvisionの設計と提案、そして試聴デモのL-Acousticsのサポートと支援に感謝しています。「メーカーとの密接な関係とサポートはとても大切だと思います。それは私たちが正しい判断を下し、プロジェクトを次のレベルに進めるのに役立ち、素晴らしい結果をもたらしました。」

「ヨンソンさんとJLEとの協力は、いつも楽しい仕事になります。ヨンソンさんほど自分たちのミッションに真剣に取り組んでいる人はいません。彼は常に最良のソリューションを探し、それを笑顔で実行してくれます!」とリュデビェールク氏は結論付けています。「コロナ禍の影響でシステムをあまり試すことができませんでしたが、第一印象はカバレッジが非常に均一であるということです。バルコニーの最前列から最後列まで、どこでも同じ音が聴こえてきます。」

フィラデルフィア教会は現在、集団予防接種会場として使用されており、L-AcousticsシステムはBGMやアナウンスを流すなど、有効に活用されています。

フィラデルフィアキュルカンのメインホールでサウンドエンジニアを務めているエミル・ソデルテイ(Emil Söderteg)とフィリップ・ブリランド(Philip Briland)。