L-Acousticsは40年以上にわたり、最高のサウンド体験を共有することで、人と人をつなげることに努めてきました。そして、没入型オーディオ体験のクリエイターであるPolygonとのパートナーシップは、まさにそれを実現するものです。

2017年にアーチー・ケズウィック(Archie Keswick)氏、ニコ・エリオット(Nico Elliott)氏、アダム・ニコラス(Adam Nicholas)氏によって設立されたPolygonは、テクノロジーに精通したクリエイター、音楽愛好家、そして常に限界に挑む表現者たちによるコレクティブです。最先端のイマーシブ・サウンド、ライティング、その他のマルチセンサリー(多感覚)テクノロジーを駆使し、他にはない音楽体験を創り出しています。近日開催されるPolygon Live LDNショーでは、Arooj Aftab、Cosmo Sheldrake、Gold Panda、Halina Rice、Jon Hopkins、Kaitlyn Aurelia Smith、Kiasmos、Max Cooper、Nitin Sawhney、Photay、Tinariwen、Weval、Yīn Yīnなど、実力派から新進気鋭のアーティストまで、幅広いアーティストが出演し、半球状のドームステージ内の360度サウンドシステムでパフォーマンスを披露します。ステージには12.1.4チャンネル構成のシステムを設置。12台のL-Acoustics ラインアレイスピーカーが観客を取り囲み、フェスティバルクラスのサブウーハーが重低音を響かせ、頭上には4台のスピーカーアレイが上空からクリアな音像を投射します。

このシステムは、同規模のステージで一般的に使用されるプロ仕様のサウンドシステムの5倍ものスピーカー数を誇ります。さらに巨大な格子構造の照明が設けられ、観客を空間化されたサウンドとシンクロしたライティングで包み込みます。観客はこの壮大な演出に夢中になり、まさに本物のイマーシブ体験を味わうことができます。

持続的で実りあるパートナーシップを生んだ原動力

Polygonはどのようにして誕生したのか?共同創設者のアダム・ニコラス氏によれば、そのきっかけは音と音楽への純粋な情熱にあったと言います。Polygonの創設メンバーのひとりが、L-Acousticsとのコネクションを活かし、パートナーたちにL-ISAサウンドテクノロジーを紹介したことが、プロジェクトの方向性と特徴を決定づける転機となりました。「L-ISAに出会うまでは、観客を音で包み込み、音楽の内側に入り込むという発想はなかったのです。」とニコラス氏は語ります。

Polygonの使命は、音のゴールドスタンダードを提供することです。L-Acousticsは、クリエイティブなコラボレーション、アーティストの発掘、研究開発、そして使用するサウンドテクノロジーなど、様々な面でPolygonのパートナーとなり、その使命を果たすことをサポートしてくれます。どのくらいの数のラインアレイスピーカーが必要なのか、スピーカー間の距離はどれくらい空けられるのか、イベントをどうスケールアップさせるかといった、難しい問いの回答を得るために、L-Acousticsとのパートナーシップを活用していると指摘します。

2018年に始まったパートナーシップは、L-Acousticsにとっても実り多く、有意義なものとなっています。L-Acousticsのアプリケーション・バーティカル部門グローバルディレクター、ダヴィッド・ドールマン(David Dohrmann)は、Polygonが毎年ステージを展開しているタイのWonderfruit音楽フェスティバルなど、L-Acousticsの導入実績が非常に成功していることを踏まえ、L-AcousticsはPolygonの技術チームをL-ISAのエキスパートとのコラボレーションに招待したと説明しています。

こうした現場でのテストを経て、Polygonは新たに「マルチドーム」ステージ構想を開発しました。今年、テネシー州で開催されるBonnaroo Music and Arts Festivalで、この構想が初めて導入される予定です。この新しいステージコンセプトは、音の一体感、没入感、スケール感を実現しながらも、現実的な制作コストを維持できるのが特長です。さらに、観客が音に包まれる空間の理想的な構造やサイズを設計するための、貴重な知見をもたらしています。そしてもちろん、得られた知識に加え、このように急速に注目を集める印象的な芸術プロジェクトに関われること自体が、大きな誇りでもあります。

ユニークなイマーシブ・オーディオ体験には、特有の課題が伴う

イマーシブ・オーディオ体験というコンセプトが注目を集める一方で、ニコラス氏はそれが特有の課題を抱えていることを認識しています。プラットフォームの構築やその他のロジスティクス面には、細心の注意が求められます。

  • 選んだ構造設計とスピーカーの配置は、Polygonの理念に沿っているか?
  • アーティストのパフォーマンスを高めるものになっているか?
  • ライブサウンドとして純度の高い音響を届けられるか?
  • そして何よりも、観客を音楽の深層へと引き込む体験が本当に実現できるのか?

これらすべての問いが、Polygonの取り組みには欠かせないものとなっています。

さらに、長時間にわたるイマーシブ・オーディオ体験を提供するには、多様な音の展開が欠かせません。Polygonのクリエイターたちは、同じような音が繰り返されることで、聴衆が感覚的に麻痺してしまうリスクを強く意識しています。彼らの最大の目的は、来場者がライブの音と音楽を真に体験してもらうことであり、そのためには、感情的なつながりを生み出すような、変化に富んだ音と刺激が不可欠なのです。また、長時間のサウンド体験を成立させるには、観客の身体的なコンディションにも十分配慮する必要があります。最終的に、Polygonのイベントの成功を左右するのは、観客一人ひとりの「心から楽しめる体験の旅(ユーザージャーニー)」をどうデザインするかにかかっています。

ニコラス氏は、もうひとつの課題として自然回帰という概念を挙げています。「人々が本当に求めているのは、ゆっくりと、完全に自然に感じられる音へと戻っていくことだと思います。室内にいながら、まるで森の中にいるような音を感じたい。私たちはそんな『自然な音』への回帰を目指しており、L-ISAはその『自然な音の再構築』に、より近づくことを可能にしてくれるのです。」

タイのパタヤで開催されたWonderfruit Festival 2023のポリゴンステージでの360°パフォーマンス。

空間オーディオとPolygonは今後、どこへ向かうのか。

ニコラス氏は、コンサートシリーズや、アーティストによる卓越したライブサウンドパフォーマンスを楽しめる体験など、Polygon Liveイベントが今後さらに展開されると考えています。ロンドンで開催されるイベント「Polygon Live LDN」への期待の高さを考えると、ニコラス氏はこのコンセプトの可能性に自信を持っています。「きっと多くの人がPolygon Liveの体験価値を理解し、新しい場所でPolygonイベントが開催されるようになるでしょう。」

Polygonは、今年のBonnaroo Music and Arts Festivalにおいて、Infinity Stageの演出も手がけます。これは、Polygonによる没入型360度ライブサウンド体験の北米初上陸であると同時に、Polygonの新ステージデザインの世界初公開でもあります。今回初めて、Polygon独自の360度空間オーディオとシンクロしたライティングシステムが、3つの半球型ドームをまたいで展開されます。

ニコラス氏は語ります。「今、問われているのは、『空間オーディオの可能性をどこまで押し広げられるか』ということです。最高の音響体験を届けつつ、同時にビジネスとしても成立するかたちで実現していく。その推進力となっているのがPolygonなのです。私たちが手がけるステージや構造物、そしてテクノロジーはすべて、音楽をライブ空間において最高のかたちで生き生きと届けるために設計されています。」そして未来について、こう締めくくります。「目指すゴールは明確です。最高の360度空間オーディオ体験を、これから何度でも、そして何年にもわたって届け続けることなのです。」