びわ湖ホール

滋賀県大津市に位置する「滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール(通称:びわ湖ホール)」は、最新の設備と音響性能を備えた湖畔にたたずむ劇場です。

この度、中ホールの音響システムがL-Acousticsにより刷新されました。音響システムの更新に至った経緯や、導入後の印象について、びわ湖ホール 舞台技術部長を務める押谷 征仁氏にお話を伺いました。

音響システム更新の経緯

ヨーロッパでは、オペラや声楽アンサンブルの公演は、客席が数百程度の会場で行われていることが一般的です。客席数804席のびわ湖ホール中ホールもそれに最適なサイズではありましたが、本来は歌舞伎や狂言・芝居などの上演を想定してセリフが明瞭に聴こえる設計がされており、オペラに求められる残響時間がやや短いという課題がありました。中ホールでも音楽ホールのような響きを再現したいという思いが今回の音響システム更新へとつながったとのことです。

L-Acousticsの音響システムを選択した理由

びわ湖ホールでは以前より移動用スピーカーにL-Acoustics KARA(KARA IIにアップグレード済み)を導入しており、その際に得られたL-Acousticsの音質への信頼が、今回のシステム更新における選定理由の一つとなりました。

押谷氏「L-Acousticsのラインソースは会場全体に均一な音質と音量を届けてくれるため、どの席で聴いても耳に不快感がなく、自然に聴こえます。公演を行う際には、小さな音でもいかにバランスよくいい音が出るかが重要です。低域から高域までレンジが広く、小さい音でも聞こえ方がいい音はL-Acousticsだと思っています。」

今回の更新では、中ホールの音響システム全体をL-Acoustics製品で統一しています。

①プロセニアムスピーカーC  KARA IIi×7
②プロセニアムスピーカーL/R  KARA IIi×14
③シーリングスピーカー X15 HIQ×2
④シーリング サブウーハー SB18×1
⑤キャットウォークシーリング X8×12


サイド投光スピーカー X8×2

ウォールスピーカー X8×10

移動大型スピーカー X15 HIQ×2、KARAⅡ
サブウーハー SB18×2

パワーアンプ LA12X×14、LA4X×16、LA2Xi×2

更新前と比べて改善された点

L-Acousticsの音響システムに刷新したことで、具体的にどのような改善があったのかについて、押谷氏は次のように語ります。

押谷氏「以前はポイントソースのスピーカーを使用していたため、客席の中央でしか音を決めることができませんでした。今回の更新でラインアレイに切り替えたことで、指向性や音の分布が格段に向上し、オペレーターがどの位置にいても適切な音を作ることが可能になりました。ラインアレイはカバーエリアをコントロールできるため、ハウリングマージンも大きくなり、お客様が作品に没頭しやすい環境を整えることができたと感じています。」

また、操作性の面でも改善がみられたといいます。

押谷氏「ほぼチューニングをしなくても、リファレンスチューニングだけで、ある程度のハウリングマージンを確保できるようになり、オペレーターの負担が大きく軽減されました。」

導入後の感想

押谷氏「作品全体のクオリティが向上したと実感しています。音響や照明など、舞台を構成する要素すべてを含めた作品の評価が音響システムを更新してから高くなりました。お客様からも『公演がよかった』という声をいただいています。また、L-Acoustics製品を指定するアーティストや制作からのオーダーにも柔軟に対応できるようになりました。」

今回の音響システム刷新を通じて、びわ湖ホール中ホールの音響環境は飛躍的に向上しました。今後もびわ湖ホールでは、音楽芸術の魅力を最大限に引き出す舞台づくりが進められていくことでしょう。


滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/

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