メディキット県民文化センター アイザックスターンホールがL-Acousticsで音響改修。クラシックの名ホールが多目的に進化
1993年に宮崎県初の音楽専用ホールとして設立された宮崎県立芸術劇場は、2008年にネーミングライツ制度の導入により愛称を「メディキット県民文化センター」とし、県民文化の拠点として様々な文化活動や公演が行われる場として親しまれています。
メディキット県民文化センターは、1,818席のシューボックス型でクラシックコンサートに適した「アイザックスターンホール」、可変式のプロセニアムとオーケストラピットを持ち、多目的に使用できる約1,112席の「演劇ホール」、可動式の客席で多目的に使える300席の「イベントホール」という3つのホールを擁しています。
この度、このアイザックスターンホールの音響改修において、L-Acousticsのシステムが採用されました。
アイザックスターンホール


ウィーンのムジークフェラインスザール(*)の黄金の間をモデルに建てられたシューボックス型のホールで、細部に至るまで音量感と残響感が考慮された設計がされています。
(*)ムジークフェラインスザ―ル
お正月恒例のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による「ニューイヤー・コンサート」でも知られる、世界で最も有名なコンサートホール
意匠もたいへん美しく、宮崎県産のケヤキとミズメザクラによる木部の一体感は、柔らかで優雅な印象を与えてくれます。そしてなによりパイプ総数4,047本の国産最大級のパイプオルガンが設置されていることが特長です。

(株)須藤オルガン工房 製作。 四段手鍵盤 ペダル付き 66音栓、手鍵盤 56音、ペダル鍵盤 30音

音響改修
アイザックスターンホールの音響改修は、2010年ごろから計画されていましたが、この度の「多目的な公演に対応できる設備が欲しい」という強い要望により、ようやく実現に至りました。
従来、アイザックスターンホールでは、パイプオルガンの近くに吊られたバトンに設置された1台の15インチフルレンジスピーカーと、シーリング(天井)スピーカーのみが拡声用のスピーカーとして使用されていました。

センタークラスター。ステージ付近まで下ろして撮影。
センターは上からA10i Focus ×3、A10i Wide ×1。X12はバルコニーのために横と後方に向けられている。

今回の改修では、バトンに吊られたスピーカーを廃し、センタークラスターを新設。L-Acoustics RALプログラムにより特注色の白で塗装されたA10i FocusとA10i Wide、およびX12がメインシステムとして導入されました。

1階ステージ脇の柱にSyva ×2

固定はね返りスピーカー X8 ×2
この他、1階席の補助としてSyva(RAL特注色)と、そのすぐ傍の固定ハネ返りスピーカーにX8(RAL特注色)、2階席の補助にX15 HiQとX12、2階バルコニー下の補助には5XTが採用されました。
スピーカーの選考は、まず床置きしたSyvaのみで条件を満たすかというテストが行われました。その音はホール関係者の間で大変好評だったとのことです。その後、計画が進む中でセンタークラスターを設置する案が出たため、改めて他社製品と比較デモを実施した結果、L-Acousticsが採用されることとなりました。

L-Acousticsを導入するにあたり、ホールの見事な意匠を邪魔しない「ホールに調和する白」のスピーカーを導入することが重要視されましたが、先述の通りL-AcousticsのRALプログラムにより最適な白色に塗装されたスピーカーが納まりました。また、その他のスピーカーも、設置個所の柱や付近の色に合った塗装が施されています。



L-Acousticsを導入した感想を、当劇場の音響に関する管理と運営に携わる関本 憲弘氏にうかがいました。
「(ホール内の)全ての場所で、音の明瞭度が上がりました。また、バルコニーの両サイド(パイプオルガンの傍)などのエリアにも音が広くカバーされるようになりました。
これまでバルコニー席の後ろ側にMCの声が届きにくいこともあったのですが、そういった問題が解決しました。」
関本氏と共に音響の管理と運営を担当する鎌田 文夫氏はこう語ります。
「吹奏楽団がポップスを演奏する時にはソロマイクを立てることがあります。以前のスピーカーでは、マイクのフェーダーを上げるとスピーカーからの音が濁ってかぶってしまうことがありましたが、現在はスピーカーの音の明瞭度が上がったため、マイクにかぶってくる音もクリアで、演者さんからは「自分の音がよく聴こえるようになった」と良い評判です。」

当劇場で録音エンジニアとしても活躍する鎌田氏は続けます。
「録音時の、吊りマイクへのかぶりの質が良くなりました。かぶってくる音がクリアになったことで、声なども明瞭で良い状態で録音ができます。 当然、ホワイエへ流す音もクリアになりました。」

親子室に設定された5XT

LA4X ×6
最後に、関本氏がメディキット県民文化センターの今後の展望を語ってくださいました。
「L-Acousticsの導入で明瞭度が上がったので、これまでほとんど行われてこなかったオペラや演劇の公演も視野に入れて考えていきたいです。」

メディキット県民文化センター音響管理 左から 鎌田 文夫氏/関本 憲弘氏

ホール外観
今回のL-Acousticsシステムの導入は、クラシックホールとして高い評価を得ていたアイザックスターンホールに対し、ミュージカルなどの多目的な公演に対応できる確かな拡声能力を付与するという、長年の課題を見事にクリアしました。
L-Acousticsが持つ高い再現性とコントローラブルなカバレッジ能力は、今後、より質の高い芸術体験を宮崎県民をはじめとする周辺地域の人々に提供していくための強力な基盤となることでしょう。
メディキット県民文化センター(公益財団法人宮崎県立芸術劇場)
宮崎県宮崎市船塚3丁目210番地
https://miyazaki-ac.jp/



























