2023年4月
4月17日、ハリウッドボウルで開催されたプライベートなイベントで、L-Acoustics は特許技術「プログレッシブ・ウルトラデンス・ライン・ソース(PULS)」テクノロジーを備えた新しいLシリーズを発表しました。ラインソーステクノロジーを最高峰に持ち上げるL シリーズは、ラインアレイ・デザインに究極のパワー、コントロール、一貫性をもたらします。パイロット・フェーズ・パートナーBritannia Row/Clair GlobalとのBRIT Awards、パイロット・フェーズ・パートナーSolotechによるヘレーネ・フィッシャー・ツアー、RAT SoundのサポートによるCoachella Valley Music and Arts Festivalでデビューを果たしました。Lシリーズは今後PRG(ドバイ)、東京三光、Novelty(フランス)、Winly(台湾)とのパイロット・フェーズを継続し、今秋から正式に製品化される予定です。

1990年代にL-Acousticsが開発した現代のラインアレイ・テクノロジーは、30年が経った今でも世界のライブイベントのスタンダードになっています。「Lシリーズは、ソフトウェア・モデリング、スピーカー・テクノロジー、エレクトロニクスにおける30年の絶え間ない研究・開発の成果によって可能になるコンサート・サウンドの革新的なコンセプトになります。」とL-Acousticsスピーカー部門プロダクト・マネジメント・ディレクターのジェルマン・シモン(Germain Simon)は語ります。「ライン・ソース・アレイを使用した何百ものプロジェクトを分析したところ、ジャンルや会場が異なってもオーディエンスのジオメトリとアレイの形状が同じような傾向を示していることに気が付きました。その結果、既定のプログレッシブ・アングルを備えた固定エレメントを使えば、品質、効率、サスティナビリティにおいて驚くほどの向上が得られることが理解できました。」

LシリーズはL2とL2Dという2つのエレメントで構成されています。それぞれ単独での使用と、一緒に使用(L2の下にL2D)することも可能な設計になっています。1台のL2 / L2D は4台のK2に対して、同じコンターを得ながら、40%軽量、46%小型化したフォーマットになっています。Lシリーズの特長として、サイズあたりのSPLが業界トップクラスであること、客席エリアでの比類のない一貫性、その他の場所でのリジェクションの改善などが挙げられます。これらのオーディオ面でのメリットに加えて、Lシリーズの小型・軽量化により、必要なエレメント数が少なくなり、トラックに必要なスペース、搬入・搬出の作業活動が削減されるなど、導入面での革命的な変化も期待できます。

新しいLシリーズのパワー密度は、かつてないほど高いものです。各エレメントは、8つの3インチHFドライバーと8つの10インチLFドライバーに、カーディオイド及びスーパーカーディオイドのパターンを可能にする効率的で高精度の広帯域カバレッジを提供するために、前面と背面の出口を備えた 4 つのサイドマウント 12インチ ドライバーによって補完されています。また、Lシリーズ はL-Acoustics Panflex™ テクノロジーを搭載しており、サウンド・デザイナーに、70°/ 110°対称または90°非対称の4つの水平指向性パターンへの素早いアクセスを提供します。各L2エレメントが4つのPanflex モデュールを備えています。一方、L2Dは2つのPanflex モデュールを上部のエレメントに備えており、下部のエレメントは110°から140°のに広がるパターンを実現する2つの固定L-Finを備えています。

Britannia Rowのエンジニアリング兼スペシャル・プロジェクト責任者であるジョッシュ・ロイド(Josh Lloyd)氏は、BRIT AwardsのFOHエンジニアを務めながら、設計から納入までBRIT Awardsチームをリードしました。「Lシリーズは、カバレッジの均一性が印象的で、アレイのエレメント間の変化を聞くことが不可能でした。」と指摘します。「トーンの一貫性も素晴らしく、どのリスナーも同じオーディオ体験をすることができました。ボックスのカーディオイド動作によって、カバーゾーンから外れると、システムが起動しているかどうか分からなくなるくらいです!」

「BRIT Awardsでは、司会や受賞者のスピーチに加えて様々なパフォーマンスがあるのですが、それでもフィードバックを気にすることはありませんでした。放送局では、軸外性能の高さから、色づけのない入力が得られました。Lシリーズは信じられないほど音楽的なサウンドで、そのサイズからは想像もつかない出力とパンチ力を発揮しました。」

Lシリーズの効率の由来はその形状にあります。エレメント間の角度がなく、ピンを使わないオートロックリギングシステム、そして1本のケーブルコネクターにより、搬入・撤収を繰り返す動作が大幅に減少します。これにより、セットアップのミスが少なくなり、K2と比べて3倍、Kara IIと比べて最大5倍、作業時間が圧倒的に短くなります。

Lシリーズは、展開と同じように環境にも配慮しています。まず、材料の節約から言うと、塗料を56%削減、木材を30%削減、スチールを60%削減しています。Lシリーズは、資源を大切にします。同等のライン・ソース・アレイと比較して、体積で30%、重量で25%の削減を実現し、トラックのスペース、ひいては燃料消費量も節約しています。Lシリーズのインパクトは、Solotechが既にヘレーネ・フィッシャーのツアーで実感しています。「L2 システムは、同等のK1/K2システムと比べてトラックスペースを取らないのです。」と、Solotechコンサートツアー兼スペシャルイベントシニアコンサルタントのホルガ―・シャダー(Holger Schader)氏は説明します。「いつもは2台で移動するのに、今回のツアーでは音響機材用のトラックは1台で足りました。また、接続するエレメントが16ではなく4つだけなので、搬入も簡単で、より安全です。」

Lシリーズは、ハイパワー増幅と処理の16チャンネルでL2とL2Dをサポートする新しい高分解能ツアリング用アンプリファイド・コントローラー「LA7.16」でドライブされ、更にシステム効率を高めます。LA7.16は、Milan AVB対応のパッケージで、9Uで60,000W以上のパワーを発揮する48チャンネルがマウントされたLA-RAK IIIツアリングラックです。高解像度のLA7.16と先進のAutosolverツールを活用し、Lシリーズの出力を完璧に調整することで、従来のラインアレイ技術では不可能だった結果を得ることができます。

L シリーズとともに、L-Acoustics は、L2/L2D を最大 4 台まで搭載できる新しい Clamp1000 も発表しています。Clamp1000は、Kara II、K3、K2にも使用でき、最大16台のK2をサポートできます。Clamp1000を使用することで、ユーザーは地上からフライングされているアレイを回転させることができ、セットアップ時間や必要なモーター数を大幅に削減することができます。

「Lシリーズ、Clamp1000、LA7.16の組み合わせは、市場最高の増幅効率と高度なAutofilterプロセッシングにより、L-ISAテクノロジーを設備と予算の面からより導入しやすくします。」とシモンは説明します。「そして、これらの利点は、少ない人数と時間で高品質のサウンドを作成しなければならないというプレッシャーが常に存在する従来のステレオプロジェクトにも及びます。」


L-Acousticsは今年1月、パートナーであるBritannia RowとSolotechとともに、総合的なLシリーズのパイロット・フェーズを開始しました。4月から10月にかけて、このパイロットプログラムには、世界各地の6つの主要な公認パートナーが順次参加する予定です。アメリカ州ではPRGとSolotech、ヨーロッパ州及び中東ではBritannia Row/Clair GlobalとNovelty Group、アジア太平洋地域では東京三光とWinlyが、パイロット期間が終わる10月まで様々なイベントで新しいテクノロジーを展開する予定です。さらに、L-Acoustics は、RAT SoundとAEG Presentsのサポートを受けて、カリフォルニアのCoachella Music and Arts FestivalとStagecoachでL2とL2Dを提供しました。

「2月のBRIT Awards 2023で、世界初のLシリーズを使用できたことを誇りに思います。初期トレーニングと倉庫の準備からシステムの展開まで、とてもシームレスなプロセスになりました。」と、Britannia Row Productions社長のレズ・ドワイト(Lez Dwight)氏は語ります。

「L-Acousticsは長期的なパートナーで、我々が音響、照明、映像を提供するヘレーネ・フィッシャーのツアーでLシリーズのパイロット・フェーズを行う初の企業になったことを大変光栄に思います。」とSolotechヨーロッパ担当ライブプロダクション部門ビジネス開発責任者ジョン・プロビン(John Probyn)氏は語ります。

Lシリーズは、Prolight + Sound(ホール11.0、ブース#C06)と、InfoComm(2階のブース#5751および3階のデモルーム#W320)で展示されます。