ベルファストのリリック・シアター、アイルランド島初のL-ISAイマーシブ・オーディオを導入 — 新作『Denouement』のワールドプレミアにて
2025年11月 北アイルランド・ベルファストのリリック・シアター(Lyric Theatre Belfast)は、新作『Denouement(デヌーマン)』の世界初演において、アイルランド島の劇場として初めてL-AcousticsのL-ISAイマーシブ・サウンド・テクノロジーを実際の演劇作品に導入しました。ジョン・モートンが書き下ろし、リリック・シアターが自主制作したこの新作ドラマは、世界が終わりへと向かう緊張感あふれる物語。イマーシブ・サウンドの導入によって、舞台上のあらゆる囁きや緊迫した叫びが観客を包み込み、物語の世界により深く没入させる効果を生み出しています。
このプロジェクトは、L-ISA構成の設計・供給・施工を手掛けたForfey社との共同作業により実現しました。同社は、L-Acousticsのアプレケーション・エンジニアであるオリー・クランプ(Ollie Crump)、およびリリック・シアターのシニア・プロダクション・テクニシャンであるイアン・ヴェナード(Ian Vennard)氏と密接に連携しました。今回の導入は、同劇場の長期的なオーディオ戦略、そして北アイルランドおよびそれ以外の地域における演劇制作における新たな創造的・技術的基準の開拓という目標に向けた重要な一歩となります。
Forfey社のマネージング・ディレクター、マット・ミンフォード(Matt Minford)氏は次のように語ります。 「クリエイティブと技術の両面で卓越性を追求することは、中心にあります。ヴェナード氏やリリック・シアターのチームとの最初の話し合いから、私たちがそのビジョンを共有していることは明らかでした。私たちの役割は、劇場のクリエイティブな野心を真に支え、空間オーディオがいかに感情に訴えかけるストーリーテリングを強化し、観客をパフォーマーと共に物語の中に引き込むことができることを示すシステムを設計し、提供することでした。」
オリジナル脚本と没入型オーディオテクノロジーの融合
2026年に創立75周年を迎えるリリック・シアターは、北アイルランドで唯一、年間少なくとも6本のオリジナル作品を自主制作し続ける多忙な劇場です。新しい脚本を世に送り出すことは劇場の使命の中心であり、今回の『Denouement』も、劇場独自の「新人劇作家プログラム」から誕生しました。世界初演の舞台と最先端のサウンドデザインを組み合わせることは、製作チームにとって必然ともいえる進化でした。
「私たちの活動は常に、新たな才能を発掘し、新しい声を世に送り出すことに重点を置いてきました。」と、リリック・シアターのマーケティング・マネージャー、アダム・スティール(Adam Steele)氏は説明します。「観客はますますプレミアムな演劇体験を期待するようになっており、没入型テクノロジーは今やストーリーテリングにおいて重要な役割を担っています。『Denouement』は、そのクリエイティブな可能性を追求するのに絶好の機会だと感じました。」
本作の演出は、閉塞感にあふれ、観客との距離が近く、感情が高ぶるような構成となっています。こうした演出意図は、緊張感を高め、出演者と観客を「同じ心理的空間」へと引き込む没入型オーディオの特性と完璧に合致していました。
従来の拡声からL-ISAによる没入型オーディオへ
リリック・シアターが音響設備のアップグレードを検討していましたが、昨年の夏に同劇場で地域全体の技術専門家を対象としたL-ISAトレーニング・セッションが開催されたことが、L-Acousticsとの連携を加速させました。このイベントがちょうど『Denouement』の初期計画段階と重なり、この作品に没入型オーディオ技術を採用するというアイデアが生まれたのです。
「私たちは、音響設備の次のステップとして、従来のL-Rシステムの刷新か、より高度なLCRアプローチにするかを検討していました。」とヴェナード氏は語ります。「しかし、L-ISAの可能性と、それが私たちの劇場にどれほどよく合致しているかを目の当たりにしたとき、この技術が私たちを演劇音響の最前線へと導いてくれるのだと確信しました。」
リリック・シアターでは、大規模な作品やミュージカルの際に以前からL-Acousticsのシステムをレンタルして使用しており、L-ISAテクノロジーは、既に確立された音響基盤をさらに発展させる、将来を見据えた選択肢と言えます。また、389名を収容するメインホールは、1段の傾斜席で構成されており、張り出しやバルコニーによる障害がありません。この構造は、空間オーディオを実現するための理想的な物理的条件を備えています。

L-ISA構成のデザイン:Aシリーズと空間精度
「私たちは長年L-Acousticsと協力関係にあり、同社システムの実力を熟知しています。」とミンフォード氏は続けます。「『Denouement』では、L-Acousticsおよびリリック・シアターと緊密に連携し、劇場の理想的な建築構造を最大限に活かせるよう、Soundvisionを用いてカバレッジをモデリングし、この会場に合わせて精密な音響設計を行いました。」
最終的なデザインは、L-Acoustics Aシリーズスピーカーを使用したシーン構成を軸としています。A15 Focus 1台とA15 Wide 2台による中央アレイ3つがコアイメージを形成し、外側のエッジにはA10 Focus 1台とA10 Wide 2台による2つのアレイを配置することで、座席の傾斜全体にわたって均一かつ正確なカバレッジを確保しています。
主要なフロンタルイメージを超えてサウンドスケープの広がりを拡張するため、左右のサイドエリアにはシーン拡張用としてX12スピーカーを1台ずつ設置しました。知覚される音場が拡大し、横方向の音像定位が強化されます。サラウンドとオーバーヘッドの没入感は、劇場の周囲と上部に目立たないように配置された10台のX8スピーカーによって提供され、包み込むような空間的な質感と高さ情報を伝えることで、微妙な雰囲気の変化や、必要に応じて正確な音源定位を可能にしています。
システムはMilan-AVBネットワーク上で動作しています。セットアップと信号ルーティングにはP1プロセッサーを使用し、LS10スイッチでサポートされています。駆動にはLA4XとLA12Xアンプリファイド・コントローラーを使用しています。この環境により、オブジェクト・ベースのミキシングが柔軟となり、クリエイティブ・チームは物語の明瞭な伝達と、ドラマチックなサウンドデザインの両立を実現しました。
観客の反応:明瞭度、没入感、そして感動的なインパクト
システムは4週間にわたる公演期間中、週7回のパフォーマンスすべてにおいて完璧に動作しました。特に重要なのは、観客からのフィードバックが即座に、かつ明確に得られたことです。これは演劇音響において非常に稀でありながら強力な指標となります。
「音響というものは、うまくいっている時ほど気づかれないものです。」とスティール氏は語ります。「しかし今回は、いかに没入感があったか、そして音がどれほどクリアで包み込まれるようだったか、多くのお客様が口にされています。私たちの観客には年配の方も多いため、この反応は特に意義深いものです。明瞭さと自然な音像がいかに大きな違いを生むかを証明してくれました。」
映画館での体験や自宅でのストリーミングサービスが人々の期待を形成する中、没入型演劇音響は観客の関心を維持する上でますます重要になっています。「観客は最高のものを期待して会場に来ています。」とアスティール氏は付け加えます。「L-ISAシステムは、その期待に応え、さらにそれを上回ることを可能にします。」

没入型オーディオの未来へ向けて
「このプロジェクトは、素晴らしいコラボレーションの模範となりました。北アイルランドにおけるクリエイティブと技術の卓越した基準を押し上げようとする、私たちの共通のコミットメントを示すものです。」とミンフォード氏は語ります。
ヴェナード氏も次のように締めくくります。「私たちの目標は、業界をリードすることです。没入型オーディオは演劇の未来を形作るものであり、今回のプロジェクトによって、私たちはクリエイティブ面でも技術的にも一歩先んじることができたのです。」



























