Photo Credit: © Toni Kretschmer, Newpic Photography

威圧感ある面具から魅惑的な鎧まで、SyvaとXシリーズのサウンドシステムは、武士道の神話、物語、リアリティを探求するインタラクティブな インスタレーションに力を貸します。

2022年9月
「サムライ・ミュージアム」は、ドイツの実業家ペーター・ヤンセン(Peter Jansen)が30年以上かけて収集した1,000点以上の遺品を展示するヨーロッパ初の侍の歴史と文化に特化した博物館です。ベルリンの主要なギャラリー街に位置するこの美術館は、今年5月にオープンし、「日本文化のファンなら一度は訪れたい場所」という声も聞かれるなど、すでに大きな反響を呼んでいます。展示品に命を吹き込む最先端のテクノロジーとマルチメディア・インスタレーションを特徴としたオーディオ体験は、コンサルティング会社MMT-Networkが設計、システムインテグレーターPIK AGが設置したL-Acoustics SyvaとXシリーズサウンドシステムによって提供されています。

作曲家、プロデューサー、音楽監督であるクリスティアン・シュタインホイザー(Christian Steinhäuser)氏は、オーディオシステムのコンセプト設計をMMT-Networkのマネージングディレクター、ラルフ・バウアー=ディーフェンバッハ(Ralf Bauer-Diefenbach)氏に依頼しました。「サムライ・ミュージアムのような芸術的なプロジェクトでは、コンテンツ インタラクション、建築、室内音響、オーディオなどに関する幅広い知識が必要です。」とバウアー・ディーフェンバッハ氏は語ります。「クライアントと建築家はとてもデザイン志向が強かったので、クリスティアンさんと私が直面した重要な課題の1つは、完璧な指向性、レベル、周波数特性を持ち、かつ会場の建築とデザインにうまく調和するサウンドシステムを設計することでした。」と説明します。

バウアー=ディーフェンバッハ氏とシュタインホイザー氏は、美術館の建築家とニューメディアアートの分野で活躍するオーストリアの文化・教育・科学的機関であるArs Electronica Linz GmbHと協力し、複雑なサウンドコンピューターモデルを用いて最適な構成を計画しました。

オーディオのコンセプトが完成した後、PIK AGは現場でのシステム設置と設定作業を行いました。

PIK AGのテクニカルプロジェクトマネージャーであるシルヴィア・ヴァイゼ(Silvia Weise)氏は、「過去にいくつかのプロジェクトでMMT-Networkと関わったことがあり、今回の参加できたことはとてもエキサイティングでした。」と語っています。「ベルリンやドイツ国内の他の都市でシステムインテグレーターとして、L-Acousticsがサムライ・ミュージアムのような複雑なプロジェクトに最適であると確信していました。L-Acousticsの技術がサウンドデザイナーに提供する柔軟性と優れた透明性は、来場者を没入させ、展示物の視覚的印象を最大限に高める音響体験の実現に不可欠でした。」

博物館の面積は1,500平方メートルに及び、その中にL-Acoustics SyvaとXシリーズが5つの展示エリアに設置されています。室内音響と巧みなオーディオシステムの組み合わせにより、各展示物に合わせた音響空間を作り出しました。

「サムライ・ミュージアムは、展示エリアとそのガラス製展示ケースを隔てるドアや壁はわずかで、モダンでオープンな室内建築を持っています。」とヴァイゼ氏は指摘します。「L-AcousticsのSyvaとXシリーズを使用することで、隣接する展示物に影響を与えることなく、展示会内の各エリアにユニークで没入感のある雰囲気を作り上げることができました。そのためには、オーディオはSPLが高すぎてもいけないし、きれいで透明感のある、インパクトのあるものでなければなりません。L-Acousticsはこれを見事に実現しています!」

ベルリンのサムライ・ミュージアムの目玉は、14世紀に日本の大工によって建てられ、ベルリンに移設された能楽堂です。ここでは、小さく目立たないながらもパワフルなサウンドを実現する同軸型スピーカー「X4i」が採用されました。それらはステージリップの内側に設置され、Syva Subで補完されています。

能楽堂のステージリップの内側に設置されたX4i
Photo Credit: Toni Kretschmer, Newpic Photography

シネマルームのインタラクティブ・マルチメディア・インスタレーションは、4台のコンパクトなX8キャビネットと、会場の装飾に溶け込むようにデザインされたSyva Subで強化されたプロジェクションやタッチスクリーンを備えています。ここでは、侍が何世紀にもわたって日本の歴史をどのように形成してきたか、日本の民話に登場する超自然的な妖怪や日本刀の製造工程などを魅力的に紹介しています。

シネマルームの様子。
Photo Credit: Toni Kretschmer, Newpic Photography

『ジャパニーズ・デスク』の展示では、2台のSyvaキャビネットが設置され、そのエレガントなフォルムは展示品を引き立てると同時に、クリアなボーカルと滑らかな水平方向のポーラーパターンを実現しています。4台のX4iキャビネットと1台のSyva Subがこのエリアのサウンドシステムを完成させています。

『ジャパニーズ・デスク』のシステムの様子。
Photo Credit: Toni Kretschmer, Newpic Photography

さらに、「戦いの顔」と「刀剣製作」の展示は、日本の伝説的な武将の魅力的な世界にいざない、日本の伝統工芸の驚くべき技術を詳しく説明しています。それぞれ2台のSyvaキャビネット、1台のSyva Sub、4台のX4iが使用されています。

「戦いの顔」と「刀剣製作」の展示
Photo Credit: Toni Kretschmer, Newpic Photography

ヴァイゼ氏は、1つのAVBネットワークで空間全体をカバーすることで、システムのモニタリングが非常に容易になったと指摘します。2台のパソコンからAVBインターフェース経由でコンテンツを再生・配信しています。システムはLA2Xiアンプリファイド・コントローラーで制御されています。これらはすべて展示物に手際よく配置されているため、サーバールームと展示物の間にCAT7ケーブル1本を敷設するだけで済みました。

AVBネットワークは、異なるエリア間のオーディオを制御するためのさらなるメリットをもたらします。これは、能楽舞台と「戦いの顔」という隣接する2つのスペースで、それぞれ異なるタイミングで効果音を再生することが決定されときに明らかになりました。「1つのAVBネットワークにすべてをマッピングすることで、この作業を非常に簡単に行うことができます。」と言います。

DACH担当のL-Acousticsセールスマネージャーであるセバスチャン・ヴィトロック(Sebastian Wittrock)は、「サムライ・ミュージアムにL-Acousticsが採用されたことを嬉しく思っています。PIK AGとMMT-Network、そしてサムライ・ミュージアムのチームとの協力は素晴らしいものでしたが、一番の喜びは、チームの努力の結果、ミュージアムが素晴らしい成功を収めたことです。」

プロジェクトに携わった経験と、PIK AGチームが受けたL-Acousticsのサポートを振り返り、ヴァイゼ氏はどちらの経験も同様に楽しかったと語ります。

「今回もL-Acousticsは素晴らしいサポートを提供してくれ、必要な機材をすべて設置に間に合うように届け、最終的な設定プロセスでもサポートしてくれました。」と付け加えます。「また、MMT-Networksのチームや博物館のスタッフとの連携も非常にすばらしいものでした。チーム間の協力体制は模範的で、全員が一丸となって自分の役割を完璧にこなしました。その結果、視覚的にも音響的にも、まったくユニークな展示体験が味わえるようになったのです!」