ロングビーチ州立大学の象徴的な会場の難しい空間にも、Aiスピーカーは完璧に対応します


2022年6月

クールなピラミッドのすべてがエジプトにあるわけではありません。米国には建築的に真のピラミッドが4つあり、その1つであるロングビーチ州立大学のウォルター・ピラミッドは、同大学の陸上競技部のスポーツとイベントのためのスペースです。1994年に建設された2200万ドルの会場では、女子バレーボールのNCAAの試合、2001年、2003年、2019年のNCAA男子バレーボール選手権、2003年のNCAA女子バレーボール地区大会など、いくつかのNCAAのイベントが開催されてきました。

ウォルター・ピラミッドの外観の独自性は、内部の形状的な課題もたらしています。北米最大のスペースフレーム構造であるウォルター・ピラミッドは、完全な正方形の底面の一辺が約105メートルで、バスケットボールコート3面とハーフコート4面を備え、可動式のプラットフォームにカンチレバーのユニークな座席システムが採用されています。しかし、ウォルター・ピラミッドは別の意味でユニークです。今年初めにプロジェクトが完了したL-Acoustics Aiシリーズ・サウンドシステムの導入により、どの時代のどのピラミッドよりも最高のサウンドを備えているのです。
というのも、会場の従来のPAシステムも古代のものと似ていて、時代遅れの技術で古くなっていました。そのトラスに吊るされたスピーカーは、今年に入ってから動かなくなり、ポータブルスピーカーに切り替わっていました。

「1990年代初頭に設置されたオリジナルのサウンドシステムで、このような建物に対応できないほど古い技術でした。」と、ロングビーチ州立大学のシニアアソシエイトアスレチックスディレクターであるマーク・エドリントン(Mark Edrington)氏は語ります。また、会場の形状、移動式客席システム、スポーツからパーティまで幅広い活動に対応できる会場の条件などを挙げ、新しい音響システムを導入することが課題となっていました。格納式の座席を備えた多くの会場とは異なり、ウォルター・ピラミッドのボウルの前列席はヒンジで跳ね橋のように持ち上げられることでオープンなフラットフロアを作り出します。この「シートアップ」構成では、客席の金属製の底面がボウル下部周辺への音響反射板となります。

「あそこはオーディオがもたついていました。」と、L-Acoustics Aiシリーズの新システムを導入したインテグレーター、Vizual Symphony, Incの創業CEO、スーザン・ホルギン(Susan Holguin)氏は言います。同システムは、Salas O’Brien社に属するコンサルタント会社Idibriが2年間かけて開発したシステムデザインによるものです。安全点検の結果、トラスシステム全体を交換することになりましたが、平行面のない建物では、それは容易な作業ではありませんでした。

L-AcousticsのAiシリーズ・スピーカー・システムは、KS21i、A15i Focus、A15i Wideの4アレイに加え、コート面をカバーするA10i Wideアレイを使用。

そして、ケーブル経路のすべてを配線し直し、新しい超重量級の8ゲージオーディオケーブルを最高で約58メートルも配線する必要がありました。それに対して、ロングビーチ州立大学のプロジェクトマネージャー マーク・ジョブス(Marc Joves)氏とProduction Access GroupのCEO ベン・フレデリック(Ben Frederick)氏と共にプロジェクトに取り組んだホルギン氏は、当時を振り返ってみて、今回L-Acoustics Aiシステムの設置が非常に簡単に感じたと語ります。

新しいスピーカーシステムのデザインは、アリーナの典型的なもので、A15i Focusスピーカーをメインとする4面クラスターで、1つのハングに2台ずつ、ただし、観覧席のないエリアではハングを短くするためにA15iは1台だけ使用しています。各ハングは、下部にA15i Wideが1台、上部にKS21iサブウーハーが1台あり補強されています。さらに、4台のA10i Wideの水平アレイがコート面をカバーします。LA2XiLA4Xアンプリファイド・コントローラー1台ずつが、システム全体をドライブします。

女子・男子バレーボール、男子・女子水球、女子サッカーのスポーツ・アドミニストレーターであるエドリントン氏は、すべての陸上競技施設の資本改善プロジェクトの実施も監督しています。L-Acousticsというブランドに対する考え方に強い関心を持ったと語ります。「長年に渡り、連絡を取り合っていたのです。パンデミックの前には、ウォルター・ピラミッドの音響評価も行ってくれました。」

特に、この会場が非常に高い構造であることと、彼が「厄介な」音響特性であることを指摘し、それが非常に有益だったと説明します。「古い音響システムは、建物の形状やデザインが独特であるため、音響的な課題がありました。下側の客席の音量は小さいのに、上側の客席は文字通り爆音になってしまっていたのです。ここの音は難しいのですが、L-Acousticsは全体的に一貫したサウンドを作ることでそれを克服しているようです。」


Vizual Symphonyは、IdibriのデザインをベースにしたAiシリーズのPAを導入しました 。

Idibri社のライアン・ノックス(Ryan Knox)氏が、その秘密を明かします。「Aiシリーズの垂直・水平パターンの柔軟性を活かし、席が上がった状態と席が下がった状態の両方で、座席エリアのカバレッジを最大化し、壁に当たる音を最小限に抑えることができました。」と説明します。「Soundvisionはカバレッジをすばやく明確にし、EASEはデザインが独特な音響環境に最適化され、明瞭度の確保を達成することを確認するために使用されました。

「システムの設備は問題なく完成し、電源を入れた時はワクワクしました。」とホルギン氏は振り返ります。「また、大きなビデオウォールも設置され、これらの新しいシステムを楽しめて、まるで新しいアリーナのように感じられます。SNSでの最高な投稿は、『ファンの絶叫に混じってアナウンサーの声がはっきり聞こえた』というものがあったことでしょう。これぞ、パワフルなPA。」

今年初め、バスケットボールのシーズンが終わる頃に設置された新システムは、2022年のバレーボールシーズンに向けて完全に準備が整いました。Aiシリーズのシステムはまだ初期段階ですが、エドリントン氏によれば、「性能もよく、期待に応えている」そうです。

プリントアウト版はこちらから