2018年10月

Clearwing Productionsは サンタバーバラボウルで L-AcousticsのL-ISAハイパーリアル・サウンド・テクノロジーでグラミー賞を取ったバンドの・パフォーマンスのパノラマを広げました。

過去10年間で、ボン・イヴェールのリーダー、ジャスティン・ヴァーノンは、ウィスコンシン州のウッド出身の、現代音楽でもっとも独創的な歌手の一人です。バンドは、当初フォークミュージックに似た音楽から、最新の2枚のレコードでは素朴なチャンバー・ポップと、質感のあるボコーダーとエレクトロニックのコラージュまで、様々なジャンルを探求してきました。

このような多様なサウンド・オブジェクトがミックスされたため、サンタバーバラボウルのL-ISAハイパーリアル・サウンド・システムで公演されたBon Iverのショーは、4,500人の幸運なファンにとって、初めて壮大なパノラマのサウンドスケープでバンドを聴く、忘れられない体験となりました。  

「ボン・イヴェールの音楽は素晴らしく、何度もグラミー賞を受賞しましたが、実際のパフォーマンスを見た人なら誰でも彼らのライブショーは無限に優れていると分かります」と、L-AcousticsのScott Sugdenは言います。「それはあらかじめ録音されたものでもなく、タイムコードで同期されているものでもありません。すべてオーガニックでダイナミックなライブ演奏で、同じ内容で2回演奏することのないバンドです。」

Sugdenは、バンドが従来のL/RのPAでも魅力のあるショーを提供することを知っていて、Bon IverのFOHエンジニアXandy Whitesel をウェストレイクビレッジにあるL-Acoustics北アメリカ本社へ招待して、LISA LabsのCarlos Mosqueraと3人でL-ISAの可能性を検討しました。

「Cubaseでミックスしてあったライブ・ショーのマルチトラックを持ってきましたが、そのミックスがとても簡単にL-ISAへ転送されてびっくりしました。」とWhitesel氏は回想します。「L-ISAプロセッサで各チャンネルの位置をじっくりと決めたら、ほんの少しEQとレベルの調整をしただけで良い結果が得られそうでした。ステレオのプレゼンテーションから(実はライブ業界ではモノラルサウンドのようになってしまうが)L-ISAのシーン/拡張セットアップに脳を慣らすプロセスと、このショーに適用する方法の熟考の始まりとなりました。

以前、公演されたODESZAの素晴らしいL-ISAショーと同様に、今年もサンタバーバラボウルでL-ISA構成のコンサートを開催することがすべての合意のもと決定されました。

ボン・イヴェールならではのボウル・パフォーマンスのために、Clearwing Productionsは、8台のL-Acoustics K2と4台のKaraによる3つのセンターハングと、各側に14台のKaraのハング、合計5つのハングからなるシーン・システムで構成された7.1 L-ISA構成を配置しました。拡張システムは、フライングされた9台のKaraで構成されました。また、低域に一貫性を持たせるためにK2のセンターハングの真後ろに、12台のKS28による2つのハングがカーディオイド構成でフライングされました。

ステージの両側の2台のARCS IIがアウトフィルをカバーしており、ステージリップにわたって配置された9台のコアキシャルX8がフロントフィルを提供しました。システム全体は、L-Acoustics LA8LA12Xアンプリファイド・コントローラによってドライブされ、FOHにある2台のL-ISAプロセッサはショー・ミックスの空間化を実現しました。

ボン・イヴェールのミュージシャンの人数は、ショーに応じて3人から20人以上に及ぶことがあります。サンタバーバラボウルでは、常にドラマー1人と、ボーカル、ギター、キーボード、ベース、サックス、パーカッションと追加のドラムセットをマルチに担当する4人のミュージシャンの合計5人でパフォーマンスを行いました。

WhiteselはFOHミックス担当し、ステージ上のモニターミックスを行うDonato PaternostroのSD5とペアされたDiGiCo SD7コンソールを操行しました。「5人のミュージシャンしかいないのに、個別に85の入力がありました。入力を最も必要としたのは、2つのドラムセットとたくさんの電子機器であったが、そのほとんどがステレオでした。」と述べています。「現在、L-ISAは96入力まで処理可能なので、85入力をそれぞれチャンネルのダイレクトアウトとして割り当て、最終的にエフェクトとして戻しました。」

バンドは音で「ギミック」なことをやろうとは思っていなかったが、パフォーマンス中のボーカル、音楽、パーカッションに関するオブジェクトの分離についてワクワクしていました。「2人のドラマーがしばしば非常に異なることをしているため、これらのオブジェクトがL/Rミックスで同じ位置を共有するステレオシステムでは、ある程度のぼかしが発生します。」とSugdenは述べています。「しかし、L-ISAでは、Whiteselはドラムの位置を自然に広げることができたことにより、それぞれのドラムをはっきりと聞き分けることができました。これは珍しいことですよ。」

ボン・イヴェールのプロダクション・マネージャー、James Deanは正直感動しました。「会場を歩いたら、楽器の位置を耳で容易に『見分ける』ことができました。」と言います。「どのドラマーがどのパートをやっているかを聞き取ることは非常に簡単でした。ヘッドホンをしていないのに、ヘッドホンをしているかのようでした。なんて凄い! システムのサブの量については、ローエンドの透明度と力強さに非常に驚きました。実はそれほど期待していませんでした。」

Whiteselは、ショーのL-ISAミックスのFOHエンジニアと最終決定者として、バンドのリハーサルの日に会場内すべてを歩き、耳で厳しいサウンドチェックを行いました。「FOHで楽しめたミックスと音像が、会場全体で確認できたことに気が付きました。とても印象的でした。このショーの主な目的は、オーディエンスが、広がりとオーディオクオリティが上がったことに気が付いてもらうことでしたが、大成功になりました。L-ISAは中毒になりそうだ。」

エンジニアは、実際のショーには驚くべき瞬間があったと認めました。「『45』のデュエットパートの途中に気づいたのは、曲で使用されている楽器が少ないこととサックスの位置のため、音像が右側に集中していたということです。」と彼は言います。「一瞬不安になったが、これがL-ISAだから、観客全員にすべてうまく聴こえていることを思い出しました。目立つパンニングはこのシステムでは問題ありません。」

「より広いサウンドスケープの中で各サウンドオブジェクトは、独自のアイデンティティを持っていたので、コンサートの途中で以前気づくことがなかったものに気がつきました。そして、ミックス・エンジニアとしてサウンドオブジェクトを素早く正確に見分けることができたことにより、このような複雑なバンドでも、もっと簡単に、もっと早く、もっと楽しくミックスすることができました。今回のパフォーマンスは、過去3年間で最高のボン・イヴェールのショーでした。バンドの音楽を美しく、幅広く、没入感のある印象的かつ魅力的なショーに仕上げました。その結果は素晴らしかった!」

Dean氏によれば、L-ISAの価値を最大に感じたのは、L-ISAがステージ上のアーティストとオーディエンスとの絆を育むのを助けることが分かった時でした。「このシステムではパフォーマンスをより現実に感じることができ、オーディエンスは、まるで舞台の上にいるかのようです。」と言います。「実は、Justin Vernonが気が付いたことは、このショーでは携帯電話を触っている人が非常に少なかったということです。つまり、オーディエンスのほとんどが、まさに音楽にはまっていたということです。L-ISAでは、親密な雰囲気になります。」

『Santa Barbara Independent』の評論家がレビューで、つながりの感覚とL-ISAの広いパノラマを高く評価しています。「様々なボウル・パフォーマンスを見に行ったことがありますが、よくアーティストを遠くに感じて、音楽と一体化したことがありません。しかし、ボン · イヴェールのショーは、ボウル・パフォーマンスの意味を再定義しています。」