3つのL-Acoustics Syvaのペアは、各フロアーの観客に個別に対応します

2020年6月
Syvaは、歴史的な劇場のために反射率の高い壁の問題を解決し、会場を均等にカバーします

フィンランド、トゥルク市の中心部にあるスウェーデン語劇を上演する劇場「オーボ・スヴェンスカ劇場」(Åbo Svenska Teater)は、現在でも演目が上演されているフィンランドで最も古い劇場です。19世紀の華やかな雰囲気を持つこの劇場は、『レ・ミゼラブル』、『ヘア』、『ロッキーホラーショー』などのハイエンドな演劇やミュージカルが上演されることで知られています。今年の4月、劇場の音響システムは、L-Acoustics Syvaの導入で最新のものに更新され、複雑な音響上の課題を解決しました。

当初、システムは3月に納入され、5月に設置される予定でした。しかし、パンデミックの影響で劇場が閉鎖され、すべての公演が中止になったとき、劇場のスタッフはこの期間を前向きに利用し、自分達でシステムを設置することにしました。

L-Acoustics認定プロバイダー・ディストリビューター、Audicoのパウリ・モルナール(Pauli Molnár)氏は、劇場と長い付き合を持っています。1991年、彼はピンスポット・オペレーターと、照明デザイナーのアシスタントとしてそこで働いていました。「私は劇場のチームと親しくなりましたが、それ以前から音響チームのことをよく知っていました。」と彼は述べます。「オリ=ペッカ・レポヴォリ(Olli-Pekka Lepovouri)氏とヨニ・ハーヴィスト(Jouni Haavisto)氏の2人は、それ以来ずっとそこで働いています。」

1839年に建てられたこの劇場は、フィンランドで最も古い劇場の1つであり、国内で残っているロシア建築様式の数少ない1つでもあります。

L-Acoustics Syvaのおかげで、モーツァルト時代の建築様式の美学に現代の技術を溶け込めるという課題を克服することができました

去年の秋、彼らは既存PAシステムのアップグレードについてモルナール氏に相談しました。彼らはモーツァルト時代の建築様式の美学と現代の技術を組み合わせることの課題を認識していました。そのため、チームにとってシステムの外観は、サウンドシステムの電気的そして音響的特性と同じくらい重要でした。彼らはすでにL-Acoustics Syvaについて聞いていたし、その素晴らしいサウンドと非常に美しいシルエットに興味を持っていました。

「彼らはトレンドを調べたところ、Syvaが多くの条件を満たしていることに気が付きました。」とモルナール氏は続けます。「私たちがシステムのデモをしたとき、彼らはSyvaをとても気に入って、このシステムをベースに新しいシステムを作ることに決めました。」

3つのL-Acoustics Syvaのペアは、各オーディエンスのフロアーに個別に対応します。

500席の観客席は、一階のオーケストラ席、2階と3階のバルコニー席で構成されています。DOSCウェイブガイド、J型のプログレッシブなカーブ、+5と-21°のディスパーションを備えたSyvaは、拡張されたスロー能力を備えた超ワイドな水平方向カバレッジのために最適化されており、理想的なソリューションを提供しました。中央にサブウーハー1台と、Syvaによる3つのステレオペアが設置され、各ペアは、オーディエンスの各階に個別に対応します。この構成により、会場全体に一貫したカバレッジが提供されます。

ステージリップの前面に目立たないように取り付けられたX4iはフロントフィルと、サイドフィルを提供します。さらに2台のX4iが3階のバルコニーの下に設置されており、2階のバルコニーをカバーします。2台のSyva Lowはプロセニアムの中央から吊り下げられています。システム全体は、3台のLA4Xアプリファイド・コントローラによってドライブされています。

劇場の工房で、カスタムブラケットを作成しました。それらは、プロセニアムのバーに取り付けられ、高さと方向角が調整可能です。非常に難しい音響特性を生み出す反射率の高い壁があるため、一番下のSyvaはバルコニーの張り出しを避けるように配置されています。

「劇場の観客席は非常に難しい形状をしています。」とモルナール氏は述べます。「放物面ミラーのようなものです。オーディエンスにどの角度で向けても、音は常に壁に当たり、一階席の真ん中の観客に戻ってくるので、非常に困難な状況になっていました。最終的に、下の2本のSyvaにユニークな位置を特定しました。これにより、バルコニーが音に影響を与えることなく、カバー範囲を広げることができます。」

バルコニーの張り出しを避け、このSyvaをボックス席の下に配置することで、はるかに良い結果が得られました。

「まだ反射はありますが、以前よりもはるかに制御されています。」とモルナール氏は説明します。「高域は、一階席とバルコニー席の間でまったく干渉しません。キャリブレーション・プロセス中に、各バルコニーがそれぞれ用のシステムにカバーされていることが明らかになりました。中央のサブウーハーが、すべてローエンドを提供します。」

劇場は8月の新しいショーに向けて、7月にリハーサルを再開する予定です。

「オーボ・スヴェンスカ劇場のチームは、新しいサウンドシステムに非常に満足しています。」とモルナール氏は締めくくります。「彼らは現在、9月の一般公開に向けて準備をしており、改善されたサウンド体験をパフォーマーや観客と共有することを楽しみにしています。」

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