ⒸMarie Pain

2021年2月
Vari Internacionalは、メキシコで最も象徴的なパフォーマンスセンターにK1/K2をインストールしました。

世界で最高のコンサート会場の一つとして知られている、アウディトリオ・ナシオナル(Auditorio Nacional)は、1952年に馬術競技の会場として建てられました。この建物は、エッフェル塔と同じ技術であるリベット鉄で作られており、何年にもわたって大規模な改修が行われてきました。アウディトリオ・ナシオナルは、その魅力的な建築デザインとラテンアメリカ最大のパイプオルガンで知られています。会場のメインホールは、約10,000席の客席が23mの巨大なステージの周りに配置されており、主に国内外の音楽コンサート、歌、ダンス、映画祭に使用されています。2013年以来、アウディトリオ・ナシオナルは、雑誌『Pollstar』によると世界でトップセラーの会場にランクされています。

アウディトリオ・ナシオナルのサブステージであるルナリオ(Lunario)は、1,200席で、中小規模のイベントに使用されています。どちらのスペースも、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ロサンジェルス・フィルハーモニック、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団、ボリショイ・バレエ団、サンフランシスコ・バレエ団、ニューヨーク・フィルハーモニック、マーク・アンソニー、アレハンドロ・フェルナンデス、エルトン・ジョン、スティング、アラン・パーソンズ、マイケル・ブブレ、ハリー・スタイルズなど、有名なアーティストの公演が開催されています。会場には、2回のミス・ユニバースのページェントと、複数の映画プレミア、1968年夏季オリンピック体操競技などの有名なイベントも開催されていました。

アウディトリオ・ナシオナルの外観 ⒸMarie Pain

施設全体が最近改修され、12年前に導入された古いサウンドシステムに代わるL-Acoustics Kシリーズシステムが導入されました。「アウディトリオでは、毎日公演を行っています。」と、アウディトリオ・ナシオナルのプロダクションディレクター、ニコ・ペラエス(Nico Peláez)氏は述べています。「過去25年間で約3,000万人がここでのイベントに参加しており、大規模なアップデートが必要だと考えていました。」

詳細に会場の評価を行った後、ペラエス氏らは、照明、映像、音響、内部設備の改善を含め、スペース内の10のプロジェクトを特定しました。その後、プロジェクトは優先順位の高い順に並べられ、音響設備が最優先されました。「アウディトリオ・ナシオナルは常にその優れた音響特性で知られているので、世界でもトップレベルのコンサート会場であり続けるためには、音響のアップグレードが最優先されました。」と、ペラエス氏は続けます。

世界のトップオーディオブランド4社が入札プロセスに参加しました。完全な客観性を確保するために、4社のブランドは同じ日にアウディトリオ・ナシオナル理事会と独立した外部コンサルタントにデモンストレーションを行いました。「入札プロセスにおいて各社に平等な機会を与えるために、透明性の高いプロセスを開発しました。」とペラエス氏は説明します。「我々のリスニング委員会には、会場の音響・制作チームの12名が参加し、各委員はポイントシステムを使用して、各システムに対して同じ基準で評価しました。」各ポイントシステムは、実績のある経験、音質、およびアウディトリオ・ナシオナルの既存のワークフローに統合する能力を考慮に入れたものです。Vari Internacional が提案したL-Acoustics Kシリーズは、最高点を獲得し、プロジェクトを落札しました。「Vari Internacional チームは非常にプロフェッショナルで、L-Acoustics の代表者と共に L-Acoustics K1システムのメリットを明確に示すことができました。私たちにとって重要なセールスポイントは、L-Acousticsが既存のエコシステムへの適応力と、その確かな音質の2点でした。メキシコとラテンアメリカの有名なアーティストの中には、アウディトリオ・ナシオナルでK1を使用していた人もいますが、特にルイス・ミゲルは、30万人以上のファンの前で30日間の公演を行いました。私たちは皆、そのショーを見た観客からの高評価を聞いていました。」と、ペラエス氏は回想して述べます。

Vari Internacionalのセールスマネージャーであるエンジニアのフアン・フランシスコ・アルバレス(Juan Francisco Álvarez)氏は、選択されたことを光栄に思っています。「アウディトリオ・ナシオナルにとって、ブランドの変更だけでなく、ワークフローを改善する機会でもあると感じました。」と説明します。「L-Acousticsは、アウディトリオ・ナシオナルの既存のシステムと完全に統合できるだけでなく、将来性に優れ、必要に応じて新しい要素を簡単に導入し、構成することもできます。」

メインステージ


メインステージに、Vari Internacionalは14台のK1の下に2台のK2による2つのハングと、アウトフィルとして12 台のK2を配置しました。8台のK1-SBサブウーハーによる2つのハングはK1の後ろにフライングされ、さらに4台のKS28サブウーハーによる2つのスタックがステージフロアの左右に配置されています。フロントフィルは、ステージリップの前に配置された8台のX12によって供給されています。片側2台のA15 Focusと2台のA15 Wideは、モニターシステムのサイドフィルとして使用されています。ディレイは6台のKara(i)による2つのアレイが対応しています。システム全体は39台のLA12Xと7台のLA4Xアンプリファイド・コントローラーによってドライブされています。また、アンプへのAVB伝送のために4台のP1 プロセッサーが採用されています。最後に、ステージのモニターパッケージは2台のARCS Focusと22台のX15 HiQで構成されています。

ルナリオのシステムは6台のKaraと2台のSB18サブウーハーによる2つのハングと、舞台の下に隠された4台のSB28サブウーハーで構成されています。必要に応じてステージモニターとフロントフィルとして、20台のショートスローX8コアキシャルエンクロージャーを使用することもできます。サイドフィルとして、4台のA10 Wideと4台のKS21サブウーハーが使用され、9台のLA4X と 1台のLA12X は、2台の P1 プロセッサーと共にシステムをドライブしています。

ルナリオ


オーディオシステム全体がAVB / Milanプロトコルを使用してアナログとデジタルの両方をサポートし、オーディオの簡素化とコントロール・データ配信の行い、ライブSRシステムでドロップアウトのない品質が保証されています。

「アウディトリオ・ナシオナルはあらゆる規模のイベントを主催してきた豊富な歴史を持つ会場のため、完全にスケーラブルで、世界トップクラスのコンサート会場としてのこの会場のレガシーにふさわしいサウンドシステムを提供したいと考えました。」とアルバレス氏は述べます。

「この会場では、ものたくさんのイベントが行われています。通常、年間265回のコンサート、2,300トンの機器の使用、72,000人以上の技術者、300万人以上のスタッフと時間を費やし制作され、150万人の観客を集めています。したがって、ワークフロー内のすべてのコンポーネントがシームレスに連携する必要があります。」とペラエス氏は締めくくります。「Vari Internacionalと協力して、驚くべき新しいL-Acousticsサウンドシステムを納期と予算内で導入できたことを誇りに思います。新しいシステムは、より効率的に作業できるようになっただけでなく、優れたオーディオを提供してくれます。」

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