インキュバスのギタリストであり、Mixhaloの共同設立者であるMike Einziger

Clair Global は、カリフォルニアのロックバンドの 2022 年サマーツアーに、Mixhalo と L-Acoustics が提供するツアーで初の拡張オーディオを搭載したフル K シリーズのPA を提供します。

2022年9月
カリフォルニアのロックバンド、インキュバスは、過去30年以上にわたり、2300万枚以上のアルバムを売り上げ、世界中の数々の音楽フェスティバルやツアーのヘッドライナーとして活躍しています。Live Nationがプロモートするインキュバスの最新USツアーは、Sublime with RomeとThe Aquadollsをオープニングに迎え、7月24日から9月3日の間に全米27ヵ所のアンフィシアターとパビリオンで公演されました。SRシステムは、Clair Globalが提供するL-Acoustics K Seriesシステムを使用し、ステージ上のVIPエリアはMixhaloリアルタイム・オーディオアプリケーションでファンのためのコンテンツが追加されました。

「Incubusは2001年にClairとツアーを始め、2007年からは我々の主要なSRパートナーとなっていますが、L-Acousticsを使用するのはこのツアーが初めてです。」と、FOHエンジニアのグレッグ・ネルソン(Greg Nelson)氏は語ります。彼はPearl Jamの仕事に加え、バンドが311のオープニングを務めた1997年からインキュバスのミキシングも行っています。「このシステムはとても快適で、ClairとBrit RowがこのツアーにK1を提供してくれたことがとても嬉しかったです。会場が変わっても一貫性は素晴らしく、最前列から最後列まで、とても均一で音も充実していました。」

メインシステムは片側12台のK1と4台のK2、そして(半分がフライング、半分がステージスタックされた)12台のKS28サブウーハー、さらにアウトフィル用に8台のK2で構成されています。

2022年サマーツアーのスピーカー構成は、16台のKシリーズスピーカーによるメインシステム(K1x12台の下にK2x4台)と片側8台のK2によるアウトフィルアレイとなりました。左右にカーディオイド構成でフライングされた6台のKS28サブウーハーは、ステージに同じくカーディオイド構成でエンドスタックされた6台で補強されました。アウトフィルには片側2台のA15 Wideがグラウンドサブの横に配置され、フロントフィルにはステージリップに6台のA10 Focusが配置されました。システム全体は、LA-RAK IIツアーラックに収納されたLA12Xアンプでドライブされ、L-Acoustics P1 AVBプロセッサーと測定プラットフォームで制御されました。

さらに、このツアーシステムのユニークな特徴として、インキュバスのギタリスト兼ソングライターであるマイク・アイジンガーが共同設立したMixhaloプラットフォームが使用されました。これは、2021年に発表されたL-AcousticsとMixhaloの戦略的パートナーシップに続く、初の共同展開となります。Mixhaloの展開は、ステージ上の独自のVIPヘッドフォンソリューションによって、K1を介したメインオーディエンスのカバレッジを補い、ステージで体験できる原音に近いリアルタイムのオーディオコンテンツを提供するよう設計されています。

「我々はもちろん当初からMixhaloを使用していました。」とネルソン氏は語ります。「左右のミックスに加え、ベン、マイク、キル、ホセの楽器を強調した4種類のミックスを送ります。バンドはVIP席を販売しており、ファンはベンとマイクから2メートル弱の距離でステージ脇に立っていますが、Mixhaloによってヘッドフォンでショーの完璧なミックスを楽しむことができます。また、芝生席のある一部の会場でも使っています。会場の芝生席向のシステムはかなりベーシックなもので、大勢の観客をほとんどカバーできないところもありますから、芝生席でのMixhaloの使用は良い方法だと思います。Mixhaloは、人々が聴きたいときに聴き、素晴らしいミックスを楽しめるオプションを提供します。」

MixhaloのCEOであるジョン・ヴァース(John Vars)氏は、「リスナー体験を向上させるという同じビジョンを持つ我々にとって、L-Acousticsとのパートナーシップは最初から理想的なものでした。」と語っています。「私たちのルーツに立ち返り、彼らと組んでインキュバスのファンに驚異的なオンステージのオーディオ体験を提供できることに興奮しています。L-AcousticsのCEO、ロラン・ヴェシエ(Laurent Vaissié)は、「L-AcousticsとMixhaloの技術がインキュバスのツアーで初めて一緒に展開されたことをとても喜ばしく思います。」と同意しています。「これは、観客のライブ体験を向上させ続ける、将来のハイブリッドで拡張されたオーディオ体験の素晴らしい青写真となるでしょう。」

ネルソン氏は、L-Acousticsシステムに供給するDiGiCo Quantum338コンソールで行ったミキシングのアプローチについて詳しく説明します。「私は、Kickに40~50Hzを多用し、残りをBassが埋めるような、暖かみのあるローエンドから始めるのが好きです。ベン・ケニーのベースは、ウォームなローエンドと、彼の演奏の面白さを引き出すミッドレンジが素晴らしいです。マイク・アインジガーのギターの音は大きく、ディレイをかけるとボーカルとキーボードやターンテーブルなどDJキルモアのプレイのためのスペースが作れるのです。すべての音が他の音よりも大きい「音の壁 」を作り、その上にブランドン・ボイドのボーカルを乗せるのが好きです。K1は、その自然な暖かみから、これら全てに最適なPAです。中低域も高域も滑らかで、荒々しさや泥臭さを感じることなく大音量を出すことができるのです。」

2022年サマーツアーのL-Acoustics K1/K2スピーカーシステムでDiGiCo Quantum338コンソールを介してIncubusをミックスするGreg Nelson。

しかし、ネルソン氏が到着する前にシステムエンジニアのジョン・カーンズ氏が、各ツアー先でのリグの設計、セットアップ、鳴らし込みを担当しました。「私は長い間L-Acousticsを愛用しており、ほぼ毎日Soundvisionに頼っています。」とカーンズ氏。「Autosolverのツールのおかげで、非常に優れた基本的なアイデアをわずか数分で得ることができました。Autosplayを使用した後、私は通常、いくつかの異なる周波数帯域幅を見て、それらをきれいに均一にすることができるかどうかを確認し、次にAutofilterを使用してさらに状況を引き締めました。Autofilterで調整されたフィルターは、フィールド内のキャビネット間を移動するときに非常に的確であることがわかりました。」

PAを立ち上げ、信号を通過させた後、カーンズ氏はLoad Checkerを実行し、全てのパッチが正しいことを確認しました。「その後、素晴らしい測定ツールスイートであるM1へと移行しました。ワークフローが決まれば、精度が高いだけでなく、とても簡単だと思いました。すべてのタイミングと、EQの95%をM1で行い、毎日30分のピンクノイズを出す必要はありませんでした。」

PAテックのキース・ポーター(Keith Porter)氏を含むインキュバスのオーディオクルーは、AVBを主要な信号伝送としてスピーカーシステムを稼動させました。それについて、Kerns氏は「日によってわずかに異なるアレイ構成に対応するための変更も非常に簡単になりました。数ヶ月の間、一度もスリップやドロップアウトが発生しませんでした。P1プロセッサーは、L-Acousticsのエコシステムの重要な一部であり、アンプやキャビネットと同じくらい重要なコンポーネントだと個人的には思います。」と語ります。

カーンズ氏は今回のツアーでシステムエンジニアとして参加しましたが、彼は自分自身を 主にFOH エンジニアと考えており、長年に渡ってインキュバスのツアーでネルソン氏の代役を務めてきました。「バンドのミックスに精通しているため、グレッグさんがこのツアーで何を求めているのかがよく分かりました。PAを彼に渡した後は、マイクを使って5分もかからずに素晴らしい状態になりました。」

ステージ脇のヘッドフォンでも、客席でK1のインパクトを感じていても、フルカバーのプレミアムソリューションのおかげで、ファンはバンドに「プラグイン」された状態でした。「私はK1システムが大好きです。」とネルソン氏は付け加えます。「会場ごとに一貫した素晴らしいミックスを提供できるので、私の仕事がとても楽になりました。このシステムは驚くほど均一なカバレッジを実現するので、どのファンも私と同じショーを聴いて楽しんでいることが分かりますし、毎晩のように観客から褒め言葉をもらっているので間違いないでしょう。」

インキュバスのシステムエンジニア、ジョン・カーンズ(左)とFOHエンジニアのグレッグ・ネルソンが、Clair Globalが供給したL-AcousticsのPAシステムとともに写真に収まっています。

インキュバスのボーカルBrandon BoydとギタリストMike Einzigerのパフォーマンス。