2024年2月
ポールスター誌によれば、2023年のトップ30のコメディ・ツアーの興行収入は5億ドルを超え、前年から40%以上増加しました。今年はさらに大規模な公演が予定されており、コメディ・ツアーのチケット価格はコンサートチケットの価格に近づいています。このため、観客の期待は大幅に上昇しています。コメディ公演では、オチを見逃すとショーも見逃すことになります。だからこそ、これらのツアーは音楽ツアーと同じくらい質の高いサウンドが重視されるのです。フロリダ州ジャクソンビルを拠点とするAVL Productionsが、革新的なコメディアンであるTheo Vonの「Return of the Rat」ツアーに、L-AcousticsのK3コンサート・サウンド・システムを送り出したのもそのためです。

AVL Productionsのオーディオ・エンジニア、ネイト・マーティヌ(Nate Martine)氏は次のように語っています。「客席のどの席でも、それが最前列であろうと最後列であろうと、全く同じ体験ができること、そしてどの席でもPAシステムから同じ高い明瞭度が得られることが重要です。このシステムは様々なアリーナを回ることを想定し、L-Acoustics Soundvision ソフトウェアを使用して設計されています。メインが片側12台のK3、アウトフィルとして片側9台のKara IIで構成されています。アレイは8台のSB18サブと4台のX8フロントフィルによって補強されており、すべては12台のLA12Xアンプリファイドコントローラーによってドライブされます。

K3のメイン・アレイと、アウトフィル用のKara IIシステム

「K3は、話し言葉にぴったりの音色です。」とAVL Productions社長の スティーブン・アンケルバック(Stephen Unkelbach) 氏は付け加えます。「K3はクロスオーバー・ポイントが500Hz前後と低く、70度モードでPanflexから得られる水平ステアリングによる指向性がコメディ・ショーに最適です。」

マーティヌ氏は、現在ではバンドを組み込んだコメディ・ショーもあり、K3スピーカーの動作帯域幅が広いため、この種のハイブリッド・パフォーマンスにも適しており、コメディアンの音声明瞭度を低下させることなく、音楽に最大限のインパクトを与えることができると指摘しています。また、コメディのツアーに非常に便利で、人間工学的に思いがけない利点をもたらします。「K3は非常にコンパクトなボックスで、素晴らしいトラックパックを実現することができました。実際、Vonのツアーの全てが1台のセミトラックに収まります。これはツアーの収益に大きな影響を与えます。」

そして、このようなショーを行う大学キャンパスのアリーナには、学期ごとに新入生と二年生のボランティアの舞台係が新たに加わるという、独特なことが起こります。「K3はコンパクトなサイズなので取り扱いが簡単です。とてもユーザーフレンドリーで、そのおかげで何をする必要があるのかを簡単に説明できるようになりました。」とマーティヌ氏は説明します。「さまざまな意味で、K3はショーが始まる前から大きな変化をもたらします。」

昨年、AVL ProductionsがL-Acousticsのレンタル公認プロバイダー(CPr)として正式に認定されたとき、アンケルバック氏はこのような利点を念頭に置いていました。「私たちは、ジャクソンビルに新しいデイリーズ・プレイス・アンフィシアターがオープンした2017年にL-Acousticsを使い始めました。そして、新たな水準のツアーがこの町を訪れるようになったことを目の当たりにしました。私たちは、提供できるものをステップアップさせたかったのです。最初は24台のK2でしたが、2019年に公認プロバイダーになったときには48台に増えました。2021年にはK3を追加し、昨年はK1も追加したため私たちは今、まさにL-Acousticsハウスなのです。」

ステージ上のX8エンクロージャー

アンケルバック氏は、L-Acousticsの評判がAVL Productionsのブランド価値を高めるのに役立っていると言います。彼は、ロックヴィルやラウダー・ザン・ライフ・フェスティバルなど、この地域で開催されるダニー・ウィマー・プレゼンツ(DWP)の多くのショーにサウンドを提供するなど、これまで以上に高いレベルのツアーでの仕事が増えたことを評価しています。また、AVLの活動範囲も広がり、パナマ・シティ・ビーチのガルフ・コースト・ジャムやジャクソンヴィル・ジャズ・フェスティバルのようなイベントを簡単に担当できるようになりました。

「AVLの幅が広がり、拡張性が増したのは確かです。」とアンケルバック氏は言い続けます。そしてもうひとつ、予想外のしかし非常に望ましい結果をもたらします。「大規模なショーやイベントにも対応できるようになり、小規模なショーでは新しい音響プロバイダーに任せることができるようになりました。そうすることで、L-Acousticsは業界全体の進化に大いに貢献しているのです。」これは冗談ではありません。

コメディアンのTheo Von(中央)と「Return of the Rat」ツアーの制作チーム