2022年11月
ラ・ヴィレット公園は、パリで3番目に大きな公園であると同時に、芸術、音楽、文化の中心地であり、パリ・フィルハーモニーやシテ・ド・ラ・ミュージックなど、文化施設が市内で最も集中している場所です。この地には、物理的にも心理的にも印象的な大ホール「グランド・アール・ド・ラ・ヴィレット」があります。19世紀の鋳鉄とガラスの建築を代表するこの建物は、フランスの有名な建築家ヴィクトール・バルタールの設計によるもので、元々は食肉処理場でしたが、1985年に多目的スペースに生まれ変わりました。大ホールでは、展示会、コンサート、演劇、フェスティバルなど、さまざまなイベントが開催されます。毎年9月に行われるフェスティバル『ジャズ・ア・ラ・ヴィレット』には、3万人以上のジャズファンが集まります。

5,000人収容の大ホール、チャーリー・パーカー・ホール、ラ・ネッフからなるグランド・アルは、L-Acousticsの最初のフルレンジ・ラインソースアレイ、V-DOSCのメリットを受けた世界初の会場の1つでした。90年代半ばに設置されたこのシステムは、25年以上にわたって安定した稼働を続けてきました。会場のチームは、そろそろアップグレードの時期だと判断し、コンパクトながらもパワフルなK3を選びました。B Liveが供給・設置した移動式K3システムは、グランド・アルの多様なイベントプログラムに必要な多用途性を提供するために選択されました。

18,000 平方メートルを有するグランド・アルは、8,000名のカクテルパーティーから 4,000 名が着席するイベントまで、様々なイベントに対応できるような設計になっています。K3は、既存のKara II、Xシリーズ、SB28サブウーハーを補完する理想的なソリューションで、制作のニーズに応じて再構成し、必要に応じて他の会場でも使用できる可能性を持っています。

年間を通して、システムはL-C-Rの構成で、6台のK3によるセンターハングを挟んで、片側9台のK3を採用しています。KS28はカーディオイド構成で配置され、サラウンドは片側4台のX12で提供されています。設置後、グランド・アルのチームは、L-Acousticsアプリケーションエンジニアのアルノー・ドゥロルム(Arnaud Delorme)から1週間のトレーニングを受けました。

今年の『ジャズ・ア・ラ・ヴィレット』では、テクニカルディレクターのダニエル・マシューズ(Daniel Matthews)氏が、音響映像部門の責任者であるオリビエ・オルリ(Olivier Olry)氏、フリーランスのシステムエンジニア、ヴァレリアン・ラングレ(Valérien Langlais)氏と密接に協力しながら、新しいシステムを使った構成をデザインしました。残響の低減、カバレッジの最適化、客席エリア全体の均一な音圧を達成するために、システムは片側12台のK3による左右のメインアレイによる構成になっています。片側2台のKara IIは、ダウンフィルとしてK3の下に吊り下げられ、ボーカルの明瞭度を上げるためにセンターには6台のKara IIがハングされています。AutoFIRアレイプロセッシングがK3を2台ずつ処理しています。4台のKS28サブウーハーがカーディオイド構成でフライングされています。

L-Acoustics Kシリーズは、パリのGrande Halle de la Villetteにパワーと多用途性を提供します。

さらに2台のKara IIはディレイ機能を提供し、天井に近い最後列の観客に最高のオーディオ品質を実現します。Kara IIは、フロントフィルとしてステージリップにも設置されています。システムは冗長性を持つMilan AVBネットワークとAESフォールバックでLA12Xアンプリファイド・コントローラーによってドライブされます。プロセッシングはP1プロセッサーで行います。

「K3とKS28のすばやく簡単なリギングシステムは、我々にとって大きな利点です。」とオルリー氏は語ります。システムを吊るのに時間はかからず、Delta 1.5Tアクセサリーを用いて後部2つのモーターポイントからK3アレイのアジマス角をリモート調整するのにもすぐに慣れました。地上レベルですべての設定、調整、修正ができるので、仕事が楽になりました。」

「ツアー・エンジニアから素晴らしいフィードバックがありました。」とマシューズ氏は付け加えます。「K3は本当のフルレンジシステムで、40Hzから非常によく反応し、スペクトル全体にわたって素晴らしい一貫性があるので、調整しなくとも最高の音を出します。」

オルリー氏はマシューズ氏と同じ考えで、K3のコンター能力は極めて重要であり、超低域にのみ拡張が必要な深い周波数特性を持っていると付け加えています。「モジュール式の8インチや10インチのシステムとは対照的に、K3は音響的にKS28と吊ることもでき、カバレッジは客席エリア全体で一貫しています。これは間違いなく皆にとって有益なことです!」

L-AcousticsのK3は、会場にあるKara II、Xシリーズ、SB28のサブウーハーを完璧に補完します。
L-Acoustics Kara IIは、フロントフィルとしてステージリップに設置されています。

ラングレ氏は、K3はグランド・アルに位置する3,000平方メートルあるチャーリー・パーカー・ホールの着席スタイル時の観客エリア構成にも最適なソリューションであると同意を表します。ラングレ氏によると、KS28をK3の後ろに配置することで、システムの視覚的インパクトを緩和しており、演劇や舞踊のプロダクションに有利であると説明しています。「K3の汎用性は、我々にとって大きな強みです。展開の仕方にほとんど制限はありません。」とマシューズ氏は締めくくります。「コンパクトながら素晴らしい低音域を持ち、Panflexによる水平方向の調整も非常に効率的です。AutosplayやAutoFIR機能を持つSoundvisionでの初期設計から、Network ManagerやM1測定プラットフォームでのセットアップまで、すべてが効率を最大化するように設計されており、すぐにシステムの最適化に取りかかることができます。そして、K3を使えば、音圧分布や周波数特性のまとまりなど、客席エリア全体に対してすべてを最適化する方法がすぐにわかるのです。」

【左図】左から:ヴァレリアン・ラングレ、オリヴィエ・オルリー、ダニエル・マシューズ
【右図】Grande Halle de la ViletteでL-Acousticsの新しいK3システムを使って公演中のTank and the Bangas。