2026年1月
「TheOne」は2025年10月、ワルシャワ随一のクラブ街であるマゾヴィエツカ通りの中心にオープンしました。ここは、ハイエンドなホスピタリティとクラブクラスのオーディオ環境を融合させた意欲的なスペースです。ナイトクラブ、レストラン、カクテルバー、ラウンジという複数の機能を一つの屋根の下に収め、それぞれに異なる音響特性を求めながらも、統一されたブランド体験を創出しています。その柔軟性を可能にしているのが、Sound Experience社が設計し、L-Acoustics公認プロバイダーであるAudio Plus社が供給したL-Acousticsサウンドシステムです。

TheOneのデザインと施工において、妥協は一切ありませんでした。ダークウッドのパネル、高級感あふれる家具、穏やかな照明、柔らかなミニマルラインといった洗練された美学は、同様に洗練されたテクニカルアプローチを求めました。目指したのは、地中海風の料理から始まる夜が、自然な流れで忘れがたいナイトライフ体験へと移行しながらも、ブランドの核であるエレガンスと温かみを常に保つ空間です。

それを実現するため、TheOneのオーナーたちは明確な意図と高い意識をもってプロジェクトに臨みました。導入前には世界各地のクラブを訪れ、最高峰のナイトクラブ・サウンドシステムがどのように構築されているかを研究。さらに、Sound Experience社の本社を特別に訪問し、同社デモルームでさまざまなL-Acoustics構成を実際に体感しました。この訪問こそが、彼らにとってL-Acousticsが理想を実現する最適なソリューションであると確信する決め手となりました。

迫力と洗練

「TheOneにおける課題は、用途の異なる複数の空間全体で、統一感のあるオーディオ体験を構築することでした」と語るのは、Audio Plusのキーアカウントマネージャー、ヴォイチェフ・マズレク(Wojciech Mazurek)氏です。「TheOneには、ディナータイムの繊細なアンビエントミュージックから、深夜帯のパワフルなクラブサウンドまで対応できるプロフェッショナルな音響システムが必要でした。同時に、会場の洗練された美観を損なわないことも重要でした。」Sound Experienceのオーナーであり、L-Acousticsのシステムデザイナー兼DJでもあるミハウ・マチェヴィッチ(Michał Macewicz)氏も次のように語ります。「クラブ利用者の期待値は年々高まっています。バランスの取れた高い音質と、会場全体をカバーする適切な音響を求めているのです。現代のクラブオーナーはその重要性を理解し、こうしたニーズに応えられるソリューションに投資しています。」

マチェヴィッチ氏にとって、L-Acousticsの魅力は単なる技術性能を超えたものでした。「L-Acousticsのシステムは、その会場に最適化した設計が可能です。スピーカーを無理に駆動させることなく、本来の動作レンジで使えるため、温かみのある心地よいサウンドが得られます。それこそが、TheOneのようなラグジュアリーな会場にふさわしいサウンドなのです。」

Soundvisionによる均質な体験

Sound Experience社は、スピーカーの購入やケーブルの敷設に着手する前から、Soundvisionを用いてシステム全体を詳細に設計し、TheOneが最も重視した「適応性が高く均一な音響」をすべてのゾーンで実現しました。Audio Plusのイェジ・クビアク(Jerzy Kubiak)氏をはじめとするL-Acousticsのシステムエンジニアやトレーナーの支援も受け、広がりと親密さを兼ね備えた音響体験が完成しました。

全ての空間にフィットする分散型のL-Acousticsシステム

メインダンスフロアには、左右にA15 WideA15 Focusを各1台ずつ組み合わせたフライングアレイの後ろに、KS21サブウーハーを2台配置。バックステージにはA10 Wideを2台設置し、DJモニターにはX12を2台、KS21を2台組み合わせたグラウンドスタック構成を採用しています。4台のX12が天井に埋め込まれ、ダンスフロア後方をカバー。バルコニー下部にはX6iを7台配置し、そのうち2台はVIPゾーン用です。

ディレイシステムとしてX12を5台、X6iを7台使用。ラウンジエリアにはX8iを4台、SB15mサブウーハーを2台設置しています。システム全体はLA4Xアンプリファイド・コントローラー8台で駆動されています。

「VIPエリアのリスニング体験は特に圧巻です」とマチェヴィッチ氏は語ります。

「このエリアは上階のダンスフロアの一番奥に位置しており、フロントのA15から届く音が一直線上で重なります。さらにX12でカバーされる2つのゾーンが設けられ、VIPルーム内ではX6iが2台使用され、チューニングによって明瞭度を高めています。」

美学の重要性

マチェヴィッチ氏は続けます。「L-AcousticsのX6iは、TheOneのような会場に完璧にフィットします。スリムな外観は高級感ある内装に自然に溶け込みますし、コンパクトながらプロフェッショナル水準の音質を提供できます。取り付け金具のバリエーションが非常に豊富なので、設置が容易で、スピーカーの角度調整も正確に行えます。必要に応じて天井設置も簡単です。」

第一印象が体験全体の期待感を左右するTheOneにとって、視覚的な統合は極めて重要な要素でした。


シナリオ別のプリセット

時間帯やイベント内容に応じて最適な音響を提供するため、3種類のプリセットが用意されています。昼間の「レストラン」モードでは、全システムを均一で低い音量に設定し、600~900Hzと4kHz帯域をわずかに強調しています。低音量でも音楽の明瞭度が高まり、会話に適した環境を作り出します。

「クラブ」プリセットでは、システム全体が高音量で動作します。高SPLでは自然に低域が強調されるため、追加の処理は不要です。ディレイゾーンの音量をやや下げ、上階の音量を大きく設定することで、ダンスフロアのエネルギーが会場全体に波及します。L-Acousticsシステム特有の温かみのあるサウンドを保ちつつ、細部まで聴き取れる調整が施されています。

三つ目のプリセットはコンサート用プリセットで、貸し切りイベント時に使用されます。「このプリセットは、最もクリアでバランスの取れたサウンドを提供しつつ、PAエンジニアが自在にミックスできる余地を残しています」と、システム調整を行ったマチェヴィッチ氏は説明します。

サウンドが体験を作る

「このプロジェクトは、L-Acousticsによるクラブインスタレーションの旗艦事例だと言えるでしょう」と、Audio Plusのマーケティングディレクター、パヴェウ・クーン(Paweł Kuhn)氏は総括します。「柔軟性、精度、創意工夫といったL-Acousticsの特長が、導入のあらゆる側面で活かされました。その結果、ダイナミックで心地よく、何よりバランスの取れた音響空間が実現しています。同時に、多様な用途に迅速に対応できる、扱いやすいシステムでもあります。」