Aシリーズのシステムは、ノルウェーの国立サッカー競技場に、コンサートレベルの音響性能、確かな明瞭度、優れたカバレッジ分布を提供します。

2022年5月

ほぼ1世紀にわたり、Ullevaal Stadion(ウレヴォール・スタディオン)はオスロの街の中心地として、地域のコミュニティとアイデンティティの重要な役割を担ってきました。1926年にリン・オスロ・サッカー・クラブによって設立され、現在はノルウェー代表チームのホームスタジアムとなっています。また、ノルウェー・カップ決勝の開催地でもあり、数千人のファンがスタジアムに集まり、優勝を争うチームと一体となって歓声を上げています。これまでのPAシステムは24年間このスタジアムで使われてきましたが、今年はL-Acoustics Aシリーズシステムの導入により、ウレヴォール・スタディオンの音響面で新たな時代を迎えることになります。

ノルウェーのL-Acoustics公認プロバイダーであるScandec Systemer ASは、80年代初頭からウレヴォール・スタディオンと仕事をしており、1998年に以前のシステムの設計・納入を行いました。アップグレードの時期が近づいていることを認識していたScandec社のプロダクトマネージャー、ジョン・イダー・バッケ(John Idar Bakke)氏は、2018年には新しいシステムの設計に着手していたのです。

昨年、正式な入札が行われた際、Spectre、Assemblin、Scandecの3社がチームを組み、万全の準備を整え、将来を見据えた新しいL-Acousticsのサウンドシステムのデザインをウレヴォール・スタディオンに提示しました。Spectre社はノルウェーのレンタル会社で、数年前からスタジアムの音響管理を担当しており、最終的なL-Acousticsシステムの施工は北欧のエンドツーエンド施工・サービスパートナーであるAssemblin社が行います。このデザインは大きな反響を呼び、最終的に 落札者に選ばれました。

「L-AcousticsのAシリーズがこの会場に最適で、客席全体を完璧にカバーできることはわかっていました。」とScandec社のバッケ氏は語ります。「A15i FocusとA15i Wideは、まさにウレヴォールで必要なディスパーションを提供します。選ばれたことで、我々のシステムデザインを実現することができ、感激しています。」

システムは、合計24のメインハングに、111台のA15i Wide/Focusキャビネットで構成されています。ハングは会場全体に均等に配置され、スタジアムの片側に6ハングずつが設置されています。それらのほとんどは、上からA15i Focus1台、A15i Wide3台、さらにA15i Focus1台という構成になっています。その他にも6つのハングがあり、そのうち4つはスタジアムのスイングに取付けられています。これらは、カバレッジの条件に合わせて、1ハングずつ2~4台のAシリーズを使用しています。また、スタジアムのメディアゾーンのために、フィルとしてX12キャビネットが4台設置されています。また、メディアエリアの前方をカバーするために、A15i Wide 3台とA15i Focus 1台で構成される2つのハングも設置されています。

「システムは合計30台のLA4Xアンプリファイド・コントローラーでドライブされ、キャビネットごとに1チャンネルでドライブすることで、細かいコントロールを実現することができます。」とバッケ氏は説明します。「さらに、Panflexテクノロジーは、均一なカバレッジと優れたSPL分布を確保してくれます。」

L-AcousticsのLS10スイッチがAVBをファイバーでスタジアム内に配信し、BiampのTesira Server DSPがAVBとDanteによる音声配信を処理します。「DSPは、すべてのフィル・ゾーンのディレイとEQも処理します。」とバッケ氏は付け加えます。

技術的なプロセスは非常に円滑に進んだものの、ノルウェーの冬はマイナス15℃を下回ることもあり屋外システムの設置は困難を極め、雪などの厳しい天候への対応はプロジェクト計画の重要な点であったとバッケ氏は語ります。「ハングを設置する際には、作業面に氷や雪がないように細心の注意を払う必要がありました。幸いなことに、私たちはノルウェー人なので、霜や凍りつく寒さも怖くはないのです!」 と冗談交じりに言います。

2月に最終的なシステムが導入され、ウレヴォール・スタディオンのチームからの反響も驚異的なものでした。「L-Acousticsのシステムが提供する多機能性には驚きました。」とトーマス・スレトバック(Thomas Sletbakk)氏は結論付けています。「このプロジェクトを始めるにあたって、私たちにとって重要だったのは、大規模なコンサートやイベントに匹敵する音響性能だけでなく、優れたカバレッジと確かな音声明瞭度を実現できるシステムを手に入れることでした。新しいシステムは、これらの条件をすべて満たしています!ノルウェーでは、『どんな条件下でも』というのは本当に意味があるのですが、システムのレーザー精度の高いカバレッジのおかげで、どんな条件下でも完璧なサウンドが得られるのです!」

Ullevaal Stadiumのメインシステムは、L-Acoustics A15i Wide/Focusキャビネット24台を会場全体に均等に設置し、さらにスタジアムのメディアゾーンのフィルとしてX12キャビネットを設置しています。

Ullevaal Stadiumのメインシステムは、L-Acoustics A15i Wide/Focusキャビネット24台を会場全体に均等に設置し、さらにスタジアムのメディアゾーンのフィルとしてX12キャビネットを設置しています。

L-Acoustics A15i Wide/Focusのメインハングの様子。

L-Acoustics A15i Wide/Focusのメインハングの様子。

プリントアウト版はこちらから