株式会社ケン・コーポレーションと株式会社Kアリーナマネジメントが、横浜みなとみらい21地区で大規模複合開発であるKアリーナプロジェクトを推進し、2023年7月31日に地上9階建て、座席数20,033席のKアリーナ横浜が竣工しました。

Kアリーナ横浜は、—すべては『音楽』を楽しむために—をコンセプトにした、世界でも類を見ない音楽に特化した大型アリーナです。アーティスト の「夢」を叶えるために、様々なファシリティを備えるとともに、一般的なライブ・コンサートで持ち込まれる演出機器を一部常設し、設営・撤収に配慮した「使いやすさの追求」と、大規模な吊り込みへの対応や良質な音響空間など「多様な演出への対応」を実現しています。

音楽に特化したKアリーナ横浜ならではのエンタテインメント空間を演出するために、ソニーマーケティング株式会社が、高精細LEDビジョン、ハイクラススピーカーおよび舞台照明を含む舞台特殊設備の設計、システム構築、納入までの一連のシステムインテグレーション業務を担いました。音響設備は 音楽に特化した空間づくりにこだわり、L-Acousticsのスピーカーシステムを採用しています。

メインシステムは、片側 16台のK1と4台のK2で構成されたリグの横に、カーディオイド構成のKS28 12台が吊り下げられ、片側20台の K2アウトサイドシステムと共に会場のアリーナ、ロアースタンド、ミドルスタンドまでをカバーしています。

メインシステム

アウトサイドシステム

センタースピーカー

KS28をフライングすることで6階のVIP席を含んだミドルスタンドでもFOHと同じバランスの音が提供できており、さらにその低域が上のアッパースタンドへもしっかり届きます。ピンスポットギャラリーにはアッパースタンド前列をカバーするために4台のK2が6か所、アッパースタンド後列をカバーするために4台のK3が8か所に吊られていますが、K2とK3にフライングされたKS28の低域が加わり、アッパースタンドの後方席でも十二分に迫力のある音楽を楽しむことができます。
アリーナ席 中央の前方はセンタースピーカーとして6台のKARA IIがカバーしています。

フロアマップ(Kアリーナ横浜 WEBサイトから転載)

そしてステージ下にグランドスタックされた2台のKS28が4か所に均等に置かれ、同じくステージ下にリップフィルとしてKIET IIに取付けられたKIVA II 2台が10か所に設置されています。

リップフィル

P1とLA Network Manager

LA12X

その他を含め200台を超えるL-Acousticsスピーカーは、4台のP1からAVB MILANフォーマットの音声と制御信号が84台のLA12Xに分配されドライブしています。さらにこれとは別に、音響室のコンソールから直接バックアップとしてアナログ回線も送られています。

Kアリーナ横浜の音響機材は、L-Acousticsのスピーカーとパワーアンプを主とした設備に集中して常設されています。出演者の好みが分かれるFOHのコンソールやエフェクター、ステージモニタースピーカーなどのステージ上の機材は好みに合ったものを持ち込んでもらうスタイルを取っています。

Kアリーナ横浜は会場設営のための時間を大幅に短縮するための工夫が随所に施されていますが、それ以外でもさまざまな工夫が見られます。空調設備にも最新型が使われており、暖房時には湿度の調整をして冬の乾燥を和らげ、高音域の減衰に対応することが可能です。P1の温度湿度測定とLA Network Managerオートクライメート機能と相まって常時ベストなサウンドが期待できます。
そして、天井にあるメンテナンスデッキには3尺×6尺サイズほどの吸音材が大量に吊られていていて余分な低音を吸音しています。一般的な大型会場は低音が長く残りがちですが、この会場は後ろの席でも程よく感じられます。アッパースタンドも寂しくない量でほどよく締まった低音が楽しめます。大きな音を出してもホール内の遮音がしっかりされているので、エントランス外への大きな音漏れもありません。
さらに近隣への振動対策としてアリーナの床にも配慮がされていて、床の強度は3t/ 1平米と頑丈で観客が一斉にジャンプしても安心です。

最後に今回の取材にご協力をいただいたお二人に感想を伺いました。

「安定感が大事です。L-Acousticsは、日々安全に安心して運用できる方法が揃っています 。例えば客席が増えたり減ったりしたら普通のスピーカーは実際に吊り変えて角度を変えなければならないけれど、Soundvisionで計算し直すだけでステージへの影響を事前に知ることができます。今後が期待できます。」と音響の管理を行っている、ヒビノ株式会社 ヒビノサウンドDiv. システム技術部 部長 井上 比呂志氏。

「非常に聴きやすい音になっています。現在、オープン前のクライアントに対する内覧会を実施しています。いらっしゃった皆様からは、これだけ品質が高い音響機材が導入されていれば何の問題も無いと喜んでいただけて安心しています。」と株式会社Kアリーナマネジメント 営業部 部長 佐藤 希氏。

本日はありがとうございました。
最初の公演は9月29日からスタートします!!
Kアリーナ横浜の詳細は、https://k-arena.com/ でご覧いただけます。

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