2023年9月
ソウルから25キロ西南にあるプチョン市に、新たに建設されたプチョン・アート・センター(以下BACという)があります。政府主導のこのプロジェクトは、松島(ソンド)セントラルパークの向かいにある市有地に2020年に着工し、今年5月に竣工しました。名高い技術コンサルタント会社アラップが設計したBACは、現在、プチョン・フィルハーモニー管弦楽団とプチョン市民合唱団の本拠地となっており、1,450席のコンサートホールで定期的に公演を行っています。

このワールドクラスの施設は、韓国で他に例がありません。この施設は、クラシック・オーケストラ、ジャズ、ワールド・ミュージック、オペラ、演説イベントを開催し、現在のアーティストと次世代の音楽家をつなぐために設計された優れた音響環境を特徴としています。コンサート来場者の文化体験をさらに豊かにするために、BACの管理運営チームは、L-Acoustics公認パートナーであるインテグレーターのDreamsystecと公認パートナー・ディストリビュータのKlausysに注目しました。200以上のパーフォーマンスとコンサートホールのプロジェクトの経験を誇るDreamsystec社は、最適な音響環境を確保するために調整可能なキャノピー、ステージ上のサウンドリフレクター、壁の電動クロスシステムと、自慢のメインホールのコンサートサウンドシステムを統合するのに理想的なパートナーでした。


3階建てのメインホールは、ステージ前方の伝統的なシューボックス席と、ステージ後方および左右の一段高くなった客席を組み合わせたヴィンヤード席のデザインが特徴です。 Dreamsystecは、KlausysとL-Acousticsのアプリケーションチームと協力して、360°のオーディエンス全体をカバーするデザイン案を作成しました。Klausysのテクニカル・サポート・エンジニアであるジャン・チョル氏によると、 「会場のインテリアデザインとの干渉を抑えるために、システムは可能な限り目立たないようにする必要がありました。L-Acoustics K3のコンパクトなサイズがうまく残響時間の長いホールで遠達性とクリアなサウンドを提供しながら、うまく溶け込むと確信していました。」

ホールの天井から異なる高さにある音響反射板の中で、スピーカーを設置する最適な位置を特定することは困難でした。ジャン氏はL-Acoustics Soundvision 3Dモデリングソフトウェアを用いて、理想のスピーカー配置を考え、ホール全体で均一なカバレッジを確保しました。

システムは、左右に10台のL-Acoustics K3アレイと、2台のA15 Focusと2台のA15 Wideのセンターアレイで構成されており、メインフロアと2階席をほとんどカバーしています。低域の限界を広げるために、フルレンジのK3エンクロージャーは2台のSB28サブウーハーで補強されています。フロントフィルには、14台のX4iコアキシャル・エンクロージャーがステージリップに均等に埋め込まれています。メイン・システムを補完するために、6台のA10 Focusキャビネットによるアレイが3階バルコニー席をカバーし、片側に2台のA10i Focusと2台のA10i Wideがディレイを提供します。4台のX12コアキシャル・スピーカーがステージ・モニタリングを実現。1台のLA2Xi、5台のLA4X、5台のLA12Xアンプリファイド・コントローラーがシステム全体をドライブします。

メイン・システムの様子

フロントフィル・システム

メインホールでは、L-Acousticsアンプリファイド・コントローラーとMilan AVBでネットワークされたAvid S6Lミキシング・コンソールが使用されています。

メインホールに隣接するアートホールは304席のブラックボックスシアターで、室内楽やソロミュージカルショーなど、小規模なクラシックコンサートに適しています。そのDreamsystec には、片側1台のL-Acoustics ARCS Focusと2台のARCS Wideによるアレイと、4台のX12によるモニタリングシステムを設置しました。システム全体は、4台のLA2Xiアンプリファイド・コントローラーで駆動されます。

システムの導入以来、BACはプチョン国際ファンタスティック映画祭、プチョン国際アニメーション映画祭、プチョン国際漫画フェスティバルなどの著名なイベントを毎年開催しています。

「最先端の音響システムは、観客とパフォーマーに最高の満足感を与えています。」とプチョン・アート・センターのディレクタは語ります。「これから、私たちが公演ごと目指していることは、最高のシステム運用を実現し、コンサート来場者に世界クラスの音響体験を提供することです。」

メインホール(左図)と304 人収容のアートホール(右図)の様子

Dreamsystecのリード・プロジェクトマネージャ、カン・ミンジュン氏 も同意見です。「私達はBACチームのオペレーション効率化に成功し、L-Acousticsのコンサートサウンドシステムでセンターがクリアなサウンドになったことで、観客の大きな満足に繋がりました。」

しかし、最も優れたフィードバックは聴衆からのものです。例えば、あるファンが、より静かで繊細な音と、よりパワフルで豊かな音の美しいハーモニーを賞賛しました。「自然な響きを生かした楽器と豊かに補強されたボーカルが美しく調和しており、プチョン・アート・センターのコンサートホールでの今後の公演が楽しみになってきました。」