Solotechは、大成功を収めた礼拝ツアーで大規模なK1/K2スピーカーシステムを展開

2019年10月

毎週日曜日に賛美歌を歌う5000万人以上の信者とYouTubeで15億分以上の動画再生時間を獲得した、オーストラリアのヒルソング教会は間違いなくモダン教会音楽の先駆けの1つです。シドニーに本拠を置く教団には、世界中をツアーするいくつかのパフォーマンスチームが所属していますが、それらの1つであるHillsong UNITED は『Oceans』、『Touch the Sky』、『So Will I』などの非常に感動的な曲で、最もよく知られているバンドだと言えます。ビルボードによると、4月下旬にリリースされた14枚目の最新アルバム『People』は間もなく、コンテンポラリー・クリスチャンのチャートだけでなく、全米チャートで週間トップセラーアルバムとして突破し、バンドの絶大な人気を印象付けました。

Hillsong UNITED は、2011年のレコードアルバム『Aftermath』のリリース以来、ずっと使用していた L-Acoustics V-DOSCから K1システムに変更しツアーを行ってきました。そこで、バンドが今年初めに3年ぶりの北米ツアー『People』のツアーを始めた時、Hillsongはナッシュビルに本社を置くSolotechにK1/K2リグを依頼しました。

「ツアーの基本的なアリーナセットアップは12台のK1の下に4台のK2によるメインのL-Rハングと、4台のK1の下に8台のK2によるサイドハング、6台のK1の下に6台のKaraの270°アレイで構成された。」とシステムエンジニアのエリカ・ラスト氏は説明します。またクルーは、張り出し舞台の下に、片側で4台のサブウーハーによるの3つのクラスターを対称カーディオイド構成で、延べ24台のSB28サブウーハーを約1,200mmの間隔でグラウンドスタックしました。

16台のKiva IIをフロントフィルで設置しました。会場の条件に応じて、これらは通常、「インフィル」用に真ん中のサブウーハー・クラスターの上に3台でスタックされており、アウト用のサブウーハー・クラスターの上には2台または3台ずつスタックされていました。ステージの横にはVIPスタンディングルームがあったため、残りの2、3台のKiva IIは、そのエリアをカバーし、270°のハングの下にある最前列席のカバレッジを補強するためステージ上にアウトフィルとして使用されました。

トロントのScotiabank Arena やニューヨークのMadison Square Gardenなどの大規模なショーでは、Solotechは各メインハングに2台のK1を追加して合計18台のエンクロージャーを配置し、サイドハングをK2だけで構成しました。48台のLA8アンプリファイド・コントローラが、RIEDEL RockNetを介してAESによってシステム全体をドライブしました。

ラスト氏によると、このショーにはいくつかのユニークな要素がありました。「メインステージの他に、オープニングアクトのMack BrockとUNITEDのより静かなアコースティック曲が演奏されるBステージがありました。」と彼女は指摘します。「このステージは、アリーナフロアのPAの前で、FOHに非常に近い場所にありました。PAテクニシャンであるニック・ストーバー氏とマイク・ブラッドリー氏に助られながら、私はボックスが直接ステージを狙わないようベストを尽くしましたが、それらのエレメントがあってもPAがハウリングするまでに得られたゲインの高さに驚きました。張り出し舞台の先端でも、フィードバックの問題は一切ありませんでした。メインハングを横に広く設置したことと、アレイの高い指向性制御が大きな影響を与えたと思います。」

ツアーのサブウーハーの構成もユニークでした。ステージ中央の張り出しがアレイを分断するため、サブを左右に分ける必要がありました。「低域のエネルギーをそこから遠ざけたいので、ステージ上で反転したサブウーハーと対称的なカーディオイド構成を使用することで、サブの極性レスポンスを張り出しからわずかにそらしました。」とラスト氏は説明します。「さらに、Soundvisionの予測に基づいた結果から各クラスターにディレイを加え、アークを描くように調整して、フロア全体に低域のカバレッジが良くなるよう広げました。K1の素晴らしい点は、サブウーハーを吊らなかったにも関わらず、ボックスのフルレンジが35Hzに下がるため、特にアレイモーフィングのLFコンター機能と組み合わせて使用すると、アリーナの最後列席まで満足できる低域を届けることができることです。」

彼女が克服しなければならないもう一つの課題は、歌詞を表示する屋根の構造と巨大なスクリーンでした。「PAと構造がお互いの邪魔をしないことが重要でしたが、幸いなことに、Soundvisionモデルのおかげで、予測が可能で必要な調整が分析できました。」と彼女は指摘します。

Soundvisionといえば、ラスト氏は、すべてのSVファイルが、その日のセットアップの変更値を反映したNetwork Managerへ直接流し込めるため、すべての会場をSoundvisionでモデル化することにしたと説明します。「通常は朝、先ず会場に入り、測定を行い、あればSoundvisionデータベースモデルと比較して、XMLPファイルを作成しました。」と彼女は回想します。「Autosplay機能で適切に予測するためには、dmin、dref、および dmax の正しい位置を定義するために、垂直測定値が正確であることが不可欠でした。」

「Auto Init とOptimizeは、各ショーのセットで必要な微調整を行うことができ、エレメント間の角度を素早く最適化するのに役立つため、AutosplayとAutoFIRツールは私のワークフローで当たり前のことでした。私はPAのカバレッジと整合性の均一な出発点を作成するためにAutoFIRに大きく依存しました。同じNetwork Managerファイルを使用して、更新されたFIRフィルタと新しい同期グループをロードできるように、毎日Soundvisionで同じスピーカー構成データファイルを使用するようにします。こうすることで毎日カスタマイズを再構築するのではなく、膨大な時間を節約できるようになりました。

このワークフローの1つの例外は、PAの構成を変更する必要がある場合でした。ツアーは多種多様な会場で構成され、一部のアリーナは他のアリーナよりも規模が小さかったり、トリムの高さが制限されたりしていたため、その会場の条件に合わせてPAの構成自体を変更する必要がありました。「Soundvisionによるモデルでこれらの変数の影響を素早く評価できることは、その日のセットアップをどのように変更するかをすぐに決定するのに役立ちました。」

FOHエンジニアのジェームズ・ラダー氏は、2003年のバンドの初のツアー以来、Hillsong UNITED に加え、Young and Free、Worshipなど、Hillsong Church教団の他のグループのツアーをミックスしてきました。彼はラスト氏と、そのPAテクニカルチームであるストーバー氏とブラッドリー氏の絶間ない細やかな仕事を高く評価します。

「エリカさんは、毎日システムを常に一貫性のあるサウンドにすることに努めていました。その段階では、常に会場全体を歩き回り、エンドリスナーに最高のサウンドを提供する方法を考えていました。私は本当に一緒に仕事ができたことを嬉しく思います! 更にまた、Network Managerは、場所が変わっても自信を持って微調整を行うために必要なすべてのツールを提供します。

「私が過去、1回限りのシステムでUNITEDをミキシングする際に抱いた問題は、グループが非常に多様なジャンルを演奏するため、さまざまな楽器を使用するので曲をミックスする際の調整に混乱したことでした。しかし、K1とK2は、毎回それを効率化してくれます。」

ラスト氏は、適切に調整されたシステムとラダー氏の良いミックスが最高だと述べます。「Hillsong UNITEDには非常にダイナミックなセットがあります。このショーは、低域を重視したダンスコンテンツから、静かな朗読やアコースティックな曲までと多彩です。オーディエンスエリア内の全体的な調性でさえ、SPLと同様にこのアプリケーションにとって必要不可欠な要素でしたが、K1 / K2は高度な忠実度を提供する上で非常に強力だと感じています。信頼度の高いVNCタブレットを持ってジェームズさんと一緒に会場を歩き、システム全体を聴いて回りました。各サブシステムが均等にスケーリングされており、リスニングエリア全体で一貫したカバレッジが得られたことが確認できました。」