VGLは、地震で損傷し美しく修復されたチリで最も象徴的な劇場にKaraシステムを設置し、強力なSPLと軽量で小型のフォームファクターを実現

2022年6月
チリの都市ビニャ・デル・マールは、その植民地時代の建築、活気あるナイトライフ、そして毎年開催されるビニャ・デル・マール音楽祭で有名です。地中海性の気候と美しく豊かな緑に恵まれたこの街は、「ガーデンシティ(庭園都市)」の愛称で親しまれ、国内屈指の観光地として知られています。2010年、マグニチュード8.8の大地震が発生し、遺産であるビニャ・デル・マール市立劇場を含む、街を象徴する建物に深刻な被害を与えました。現在、劇場は完全に修復され、チリのL-Acoustics公認プロバイダーであるVGLが提供する国内最先端のL-Acoustics Karaサウンドシステムによって、完璧な音響の新たな高みに達しています。

1925年から1930年にかけて、有名な建築家レナト・スキアボン(Renato Schiavon)とアキレス・ランドフ(Aquiles Landoff)によって建てられたビニャ・デル・マール市立劇場は、フリーズ、コーニス、柱で飾られたファサードと、彫刻や成形された石膏の装飾で満たされた印象的な建物です。震災の被害を受け、オリジナルの設計を生かし丹念な修復が行われましたが、これを機に最新の技術インフラが導入されました。プロフェッショナルな音響、映像、照明のソリューションにおいて30年以上の経験を持つVGLは、チリのトップインテグレーターであり、この困難なプロジェクトに取り組むために適切なチームと機材を持っています。

「私たちのチームは、地元の自治体が改修工事を承認した2013年に設備全体の技術的な入札プロセスに初めて関わりました。」と、VGLのライブオーディオソリューション&インストレーション担当のクリスティアン・オソリオ(Cristian Osorio)氏は振り返ります。「L-Acousticsのアレックス・ソト(Alex Soto)と協力して、劇場の客席のために新しいサウンドシステムの初期プリデザインを作成しました。」

しかし、残念ながら、この地震は当初考えられていた以上に建物の構造にダメージを与えていたため、深刻な遅れが生じてしまいました。劇場の技術チームが入札のプロセスを再検討し、再びVGLに提案を求めたのは、2019年になってからのことでした。

「プロジェクトが再開されるのを待っている間に、私たちは最初のデザインを改良しました。その結果、劇場に戻ってプレゼンテーションをするときには、勝てるデザインだと確信していました。」とオソリオ氏は語ります。

劇場のチームは、様々なスピーカーメーカーを独自に調べており、L-Acousticsの評判の高さを知っていました。劇場のテクニカルマネージャーであるフリオ・ロボス(Julio Lobos)氏も、オソリオ氏とソト氏が提示したデザインに感心していたそうです。

劇場のチームが当初から重要視していたのは、建物にダメージを与えないようにすることでした。これには、Karaが最適なソリューションを提供してくれました。「Karaの軽量でコンパクトなフォームファクターと、一貫してパワフルなSPLは、チームのすべての要求を満たしました。このような小型なシステムでこれほどパワフルなサウンドを実現できることを、彼らはとても気に入っています。」とオソリオ氏は振り返ります。「また、いつでも頼れるサポートも必要であり、チリに拠点を置くVGLは、彼らに安心と安全を提供してくれました。」

設置に先立ち、Karaシステムをステージの上に固定するために、強い耐震性を持つ特殊な金属製の構造体が作られました。さらに金属製のフレームを追加することで、再び強い地震が起きたときにキャビネットと他の建物が同じ方向に動くようにし、強度をさらに高めました。

「強い揺れの時には、地面が揺れると同時に建物の構造も揺れ始めます。Karaシステムの静的な重みは、動的な重みに変換される可能性があり、劇場の建物の他の部分とは反対の方向に揺れ、構造の健全性に深刻な危険をもたらします。」とオソリオ氏は説明します。「システムが同じ方向に動くようにするために、元の金属構造内に2番目のフレームを取り付け、Karaシステムの10倍の重量に対応できる、ドイツのメーカーMovecat社のモーターを4つ追加しました。」

L-Acoustics 5XTはステージ上に均等に配置され、フロントフィル、バルコニー下部のフィル、ディレイに使用されています。

最終デザインは、12台のL-Acoustics KaraによるL/Rハングと、その横に配置された4台のSB18サブウーハーによる2つのハングで構成されています。フロントフィルは、6台の5XTがステージリップに均等に配置されています。バルコニー下に12台の5XTと、さらに4台がディレイとして使用されています。システムはL-AcousticsのP1プロセッサーで管理され、5台のLA12Xアンプリファイド・コントローラーにてドライブされています。その他に、フロントフィル用のLA4Xとディレイ用のLA4Xが1台ずつ配置されています。アンプリファイド・コントローラーは、AES信号またはアナログ信号でAVBデータポイントに接続されています。

ステージモニターシステムは、15台のX12キャビネット、4台のARCS Focus、サイドフィル用に4台のSB18サブウーハー、トリムフィル用に1台のSB15mサブウーハーで構成されています。モニターシステムは、LA12XとLA4Xで制御されています。「チリには、これほど多くのX12フロアモニターを備えた劇場は他にありません。そういう意味では、私たちはとても珍しい存在です。」とオソリオ氏は言います。

バルコニー下に設置されたL-Acoustics 5XTのクローズアップ。

コロナ禍の最中にこのプロジェクトに取り組むことは、さらなる困難を伴いましたが、劇場の技術チームが最初から参加することで、成功は確実なものとなりました。「チームはプロセスの全過程に参加し、システムにどんどん慣れていきました。」とオソリオ氏は説明します。「Karaは使いやすく、メンテナンスも簡単なシステムなので、最終的なキャリブレーションが完了した時点で、少しトレーニングを行うだけでよかったのです。」

スタッフや自治体からの反応は素晴らしく、2022年の第2四半期にはテアトロが一般公開される予定です。

「劇場のチームや自治体からの来訪者に初めてこのシステムを聞かせたとき、多くの人が驚いた顔をしていました。」とオソリオ氏は笑顔で語ります。「誰もが、ほぼ1世紀前に建てられ、以前は損傷が激しかったこの建物が、あれほど良い音を奏でるとは信じられなかったのです。ビニャ・デル・マール市長も出席し、言葉を失っていたほどです。技術的にも音質的にも進化した最高のシステムを提供できたと思うと、言葉にできないほどの感動を覚えます。劇場が再開されたとき、お客さんの感想が楽しみですね。きっと、もっとワクワクするような、感動するような顔を見せてくれるに違いありません!」